松永敦ストーリー vol.2

孤独だった少年期

最初はニュースのモノマネをして遊んでいただけの私でしたが、それではすぐに飽きてしまいます。しだいにそれはテレビタレントのモノマネや、歌手のモノマネに変わっていきました。
するとこんどはだんだんと音楽の楽しさがわかってきて、生来人前で歌ったり踊ったりすることが大好きだった私は、人前でパフォーマンスすることに夢中になりました。

けれど残念ながら、自分の芸を見てくれる人はあまりいませんでした。
なぜなら私の家は先祖代々医者の家系で、私は共働きで忙しく働く医師夫婦の間に生れた一人っ子であり、近所には遊ぶ友達も少なかったからです。

さびしい夜には犬を連れて淀川の堤防まで行き、ひとりで大きな声で歌っているような少年でした。でも家のなかでもひとりぼっちですから、夜どんなにピアノを叩きまくって大声で歌っても、誰からも「うるさい!」と怒鳴られることはありませんでした。それこそピアノを弾いたり歌ったりする時間だけはたっぷりあったのです。

そうしてほとんど勉強らしい勉強もせず、学校から帰ったあと毎日2、3時間はそんなことばかりやっていました。医者の家系なので、いちおう医学部を志望する進学校には通っていましたが、誰にもかまってもらえない孤独な日々につまらない学校の勉強をする気になど全然なれず、ただただ歌い、ピアノを弾くことだけに時間を費やしていたのです。