「その歌い方、だいじょうぶですか?」2.楽器は?呼吸は腹式それとも胸式?

歌の練習として最低限必要なことは、歌詞を身体に叩き込む。
歌詞の単語ひとつひとつの意味を調べて知っておく。
総じてワンフレーズのつらなりからワンコーラス、いやフルコーラス歌えるようになって初めて歌のドラマがわかる。
そのためには歌詞の朗読を勧める。
それをすることによって歌のドラマが身体に入る。

楽器は弾けた方がいいかといったら、弾けるに越したことはない。
音を耳だけで聞いて喉(声)で再生しようとすると声帯に無理が出て声帯結節やポリープをつくる原因になる。

たくさんの刺激を入れたら入れた分だけ記憶がたくさん残るから、そこで楽器が弾けたら自分の記憶の音を実際に楽器で確かめることができて、そういうツールをたくさん持っていれば持っているほどいいパフォーマンスができるようになる。

たとえばヘッドフォンをして自分の声が聞こえないほど大きなノイズを耳の中に流すと、人はまともなアクセントで話したり正しい音程で歌うことができなくなってしまう。
自分が覚えている音の記憶とか内容はほかの刺激でガタガタっと狂わされてしまう。
そうなると、いともたやすく人のパフォーマンスっていうのは悪くなってしまうんです。
それをいつもいつも良い(正しい)音で自分にフィードバックして、五感でそれを感じてちゃんと出していくにはどうしたらいいかというと楽器を弾いてみる、歌ってみる、聴いてみる、書いてみる、ぜんぶやる、
それがいちばん正しい方法です。
それをやることで喉を守ることができます。

腹式呼吸でないとだめ?

と、よく聞かれるのですが、

腹式呼吸をするときには、横隔膜をできるだけ下げます。
横隔膜が下がると肺はぶわーんと下の方に膨らみます。
で、これがいわゆる『息の支え』で、お腹の支えをしっかりと、といわれるところですが、横隔膜をいちばん下まで下げます。
これ以上、下が無いってくらいに下の端に下げたときに、腹式呼吸のはじまりです。

よく息をするとき、お腹がハッと凹む人がいますが、これは腹式呼吸じゃないです。
なんでか。
お腹がへっこんだら空気どこに入るのといったら、胸に入るからです。
これは胸式呼吸です。

ですから腹式呼吸で息を吸うときにはどこに息を入れるのかといったらまた腹に入れます。
つまり膨らませているお腹に息を入れたらもっと膨らみます。
これが腹式呼吸の息を吸うときのポイントです。

じゃ、こんどは胸式呼吸です。
今度は息を吸って横隔膜を一番上まで上げます!
胸はパンパンに張ります。
横隔膜のいっちばん上のところまで上げる。
そのかわり胸は鳩胸~、みたいな感じで。
その状態で横隔膜のいちばん上の突き当りで息を吸ったり吐いたりしながら横隔膜を動かして、声の安定を保って歌うのが、これが胸式です。

だから別に腹式呼吸じゃなくてもだいじょうぶです。
でも意外と胸式呼吸は難しいんですね。
若干、(身体の)生理的じゃないところもるのでかなりのテクニックを必要とします。
だからみなさんにはもっとラクチンな腹式呼吸を勧めるんです。