「まずは自分を表現しよう!」5.「こころ」はどこにある?

じゃ、「ら」をやられた方、どうですか?

やっぱり(後のほうが声が)出しやすかったです。

「は」の方はどうです?

あの、最初よりもやっぱり出しやすかったです。
なんかちょっと音楽的に言おうと思ったら、1番の人みたいにと
思ったらちょっと音はずしてしまって、そうならなくて
すいません。

いいんですよ。それもいいんです。
コピーというか、繰り返しというかユニゾンとかね、
そういうのもいいことです。

はい。
では「う」の方はどうだったでしょう?

みなさんの雰囲気がわかったので少しリラックスできて、
よかったと思います。

はーい。
「ふー」はどうでしょう?

えっと、この方になりきってるんだけれど、他人からどう思われたい、とか
どう思われてるのか、とかはあんまり考えないで、2回めのほうがラクに
出せたと思います。

はーい。
では「ほ」はどうですか?

最初はけっこうまじめに取り組んだんですけど。
2回めはなんか楽しくできた。

そうですねー、はい。

はい、では「い」の方はどうですか?

どっちも力入っちゃってて、、そんなにあれだったんですけど、最初のほうは
マイナーな音出しちゃったものの次どうしよう、、、みたいな。
で、自分の音聴いて、マイナーってか単調というか、ちょっと暗いなーと。
こっちの思考が働いちゃったんですけど、2回めはそんなに暗くなかったかなあって。

なるほど。
さ、「え」の方はどうですか?

えとー、1回めよりも冷静にできたので、なんかあの、自分の声が聴こえてきたって
いうか、なんか、たぶんコントロールはしてないんですけど、なんか動きがもうちょっと
自由になった感じがしました。

はい。わかりました。
ありがとうざいます。

えーとですねー、ま、あの、ここで一番最初にポーンとこんなところに来ていただいて、
そこのお二人は何回か来てくださってたんですが、それ以外の方は今日初めて。
で、たぶん、わたし松永と面と向かって話すのはもちろん、とうぜん隣はどんな人が
座ってるんだろう? コイツいったい何者や? というね、そういう緊張っていうのが
まず最初この部屋を支配しているわけですね。

ところがまあ、みんなでアホなこと言ったりなんかしながらやってるとリラックスできる、
だけどそんなかでもほんとに人間、何が1番緊張するのかっていうと、さっきすごくいいこと
言っていただいたんですよ。
「無責任にできる」っていうやつ。
いや、ほんとに。

要するに、人間ってのは、3つ4つの小さい子供やったら別だけれども、
もう10年も生きると、10年人間やってると、
例えば10歳の子でも小学校でのつきあいとか、友達とのつきあい、両親とのつきあい、
家庭教師の先生とも、、、いろんな人とのつきあいがでてきてけっこうね、こんなんなって
縮こまってるんですね。
それも世界が小さいだけにほんっとにちっちゃい子の学校でのいじめなんかそうやねんけども、
押しつぶされそうですっごいかわいそうやったりするわけですね。

で、そういう中でだんだんみんな年取りながら、こう、、、年取ったら年取ったなりでいろんな
しがらみ、責任、そんなんが出てきて、動きにくくはなるんやけれども、ちっちゃいときよりは
マシ!
でも、ゆったって、自分をやるいうのんが一番しんどいんです。
自分を生きる、いうのが。
ところがそれがなんかの形で他人を生きるとなると途端に人間、ちょっとラクになるんです。

人間ってさ、心ってどこにあると思います?

こころ?
ここやけど、ここ。

あー、なるほど!
ここ(ハート)やけど、ここ(頭)いうのはどういうこと?

ここ(ハート)ってジェスチャーとかでここって思うんですけど、
でもけっきょく考えたり、悩んだり、傷ついたりいうのはここやと思うから。

なるほど!
なるほどなるほど!

どう思われます?

こころ。
胸よりちょっと下、お腹に近いというか、、、

なるほど、なるほど。
うん、丹田とかね~
いろいろ言うたりしますよね~

どう思われます?

どこでしょう?
なんか、空間にあるような気もするし・・・

はあ!

この、間に?・・・

はあ! はあ!

んー、でも自分ひとりのときも心があるから、、、どこですかねえ?

はい。いやいや。
いま、もうすっごい高度なこと言うてくれはったんです。

心っていうのは頭にあるのかもしれない。
そしたらお手て、ありますよね?
なんか交通事故で、何かの事故で、右手だけ飛んでいってしまった。
そしたら右手はそこでぽんと切れちゃったら、この右手には心はないんやろか?

え? 右手?!

右手だけならこれ単なる物体やからさ、これには心なんてないんやろか?

ない。

ない。
じゃあね、頭にもし心があるとしたら、首だけバン!と切って、ぽん!て
首をここに置いておくことができたら、首から下ってこれ、
さっきは胸に心があるかもしれないって言うてはったけど、
首から下って心ないんやろか?

えー、でも、首切ったら鶏って走るもんね。

(みんな爆笑)

えー、それ、心なんやろか?

じゃあね、ミミズに心はないですか?

トカゲに心はありません?

えー、トカゲ、傷ついたりするんかな?

あのね、暑いとか寒いとか冷たいって、やっぱりそれね、感じるわけやんか?
で、それでキュッとなったりとかヒューンってこうやったりするのってやっぱり
心あんのよ、あれ。

じゃあ、あるんだ。

あるねん!

ほんならトカゲのしっぽ、ヒュルヒュルしてるのザクっと切ったら
あれ動いてるけど心はないんやろか?

えーー?!

ならもっと言うとね、最近は、もうずいぶん昔ですけれども、まず最初に山羊、
1頭の山羊から、それとほんとおなじクローン山羊を作るという実験をしてました。
わたし昔、東大で仕事してたんですけど、そういう山羊が何頭かいましたわ。
へえ~、と思って眺めたことがある。
でもいまはぶっちゃっけ、すくすくちゃんと育つかどうかは別として、
医学的には、工学体には、人間のクローンも作れるんですよ。
なら、自分とおなじような分身がもしいたとしたら、そいつはクローンでしょ?
自分の細胞から生まれてぽわ~んと育ったやつでしょ?
それには心ないんやろか?
脳みそもあんのよ、心臓もあんのよ、ちゃんと全部そのまんま、一個の人間として
そこにあんねんよ。
でも心はないんやろか?

いや。あるねえ。

でしょ?

心ってのはね、実はすべての細胞にあります。
指切ったら、指の先のところにも心があるんです。
細胞の一個ずつに心ってあるんです。

でね、脳みそっていうのはね、これ実はあの、、、
例えばミミズっているやん?
1本のひょろひょろッとした生きものが生きるときに、
これ1本やったら簡単やねん。
でも、わたしら指がぜんぶで手に10本、足にも10本、20本もあるし、
それから顔も動かさなあかんし、聴きもせなあかんし喋りもせなあかんし、
匂いもかがなあかん、身体全体的に動かさなあかんってね、
これぜーんぶが脳で統合できて、それでちゃんとうまく動いてるから
これ、人間てのが機能できるんです。
だって右はこんなんなってるけど左はこんなんでといったら
向こうに行きたいと思っても行かれへん。
右足と左足がちゃんと動いてはじめて動ける、歩ける。

そういう指令をぜんぶまとめて動かしてるのが「脳」なんです。
だから脳っていうのは、考えることはしてくれるんだけども、
ところが感じるのは、最初には皮膚とか、いろんな臓器とか、
一個ずつの細胞に「感じる」という構造が実はあるんです。

だから例えば、がん細胞でもね、ぽこんって切ってくるでしょ、取ってくるでしょ。
あれだけできとんと上手に育ててあげると、本体の人間より長生きすることがあんねん。

はあー、、、、。

ね? っていう具合に、、わたしらの身体というのは、細胞だけを上手に生かしてやると、
変に脳みそついてないほうが長生きすることがあんねん。

これはどういうことかいうとね、「心」っていうのんをまとめた動きがちょっとバグると、
変な悩みとか、変な憂いとか、そんなんが出てくると、自律神経系がうまく動けへんように
なってさ、それで免疫力も下がって、ほなはよ死んでしまうねん。

だから意外と、こんなんん言うのもあれやねんけれども、
実はうちの母親がそうだったんですけど、昏睡状態に入ってしまって、
なんで昏睡になったかというとがんになったから昏睡状態になってんけれども、
あのう、、、あれなんですよ。食道がんだったんです。
それで食道がん、どんどん大きくなっていってさ、気管に穴あいてしまった。
で、食道と気管がツーツーになってしまった。
息吸うでしょ?
でも息吸っても肺に入らへん。
鼻から入った空気が、肺に入らんと胃のほうにいってしまう。
そういう瞬間に窒息して、ほんで8分間、頭に酸素が行けへんようになって
それで昏睡に入った。
それから数ヶ月して死んでんけど、死んだとき、まあ解剖は、できへんかったんけど、
たまたま喉のところに人工呼吸器の穴あけてたから、わたしその専門やし、そこから
ファイバースコープ入れて中を覗いたら、がんが消えてあらへん。

ええーーーー?!???

なんでか。
昏睡状態のあいだ、彼女の脳の中の憂いとか不安がなくなった。
昏睡で脳が止まってるから。
なら身体の免疫力は勝手によみがえって、がん細胞が消えてしもうてた。

へえーー、すごーーい!

ならどういうこと?

人間は、悩み、憂い、不安、これなくしたらすっごい元気で生きれんねん。

いや、ホンマなんですよ!

ね。だから一個ずつの細胞にも心は入っているんやけれども、
そういうのんのぜーんぶをバランスよく動かすために脳はあるんです。

だから人間は脳に心があるのかっていうと意外とそうじゃなくて
ここはすっごいよくできたコンピュータとアンテナ。そんな感じ。
それで、すべての細胞の1個ずつぜんぶに心があってさ、それがひゅーんって
情報が上のほうに上がってきて脳でいろいろ考えたりなんかして、
で、それを言葉にしたりなんかするんやね。

じゃ、ここ(ハート)がなんかいちばん感じるのは何? いうと
これはね、「エネルギースポット」っていうような感じのところです。
よく「チャクラ」っていう言葉をみなさん聞いたりすることあると思うんですが、
身体の中に7つあってね、1番がお尻のほうにあって2番がそれこそ丹田、
3番めがこのみぞおちのあたり、4番めが心臓で、5番めが喉で、6番めが
眉間のとこで、7番めがこのおつむの一番上のとこ(頭頂・百会)。
ぜんぶで7つあるっていいます。

で、それはっていうと、そこにいちばん気が集まるところやねんね。
これはどちらかというと西洋医学的なお話じゃなくて、東洋医学的なお話に
なりますけれども、ほんとにそこにわたしらの感覚が鋭敏になるんで、
それを「チャクラ」って言うんですね。
で、その中でも胸のほうっていうのが、ドキドキしちゃうわ、とか
胸がキュッとする、っていうのはここにほんとにあって、それがほんとに
ちょうど心臓の真上にあるから、わたしらはそこに心がある!というように
考えるわけやけど、なんか腹が座った、あいつはデキル男やな、腹が練れてるな、
みたいなときっていうのはこの丹田というところにぐっとそういう意識が集まる
ようになってるんですね。