感動を与える発声法 3.感謝の気持ちを持つ

音楽の三要素を守って楽しく心地よくやっているとそれなりの満足度が出てくるからお客さんも喜んでくれますが、その際ベースにお客さんの視線があります。
人の視線というのはほんとうにすごいパワーがあります。
みんなが自分を見てくださっている、というのはパフォーマーにとってすごいパワーになるわけです。
人間、人前でパフォーマンスをしていて何が悲しいって、何も反応がないときです。
そのくらい人というのは、ほかの人からのアクション、視線も含めて、そういうものがとても大切です。

では、その皆さんの視線、というエネルギーを使うには何が必要かといったら、それは感謝です。
観客とパフォーマーの間に見えないパイプがあるとして、ただ自分が一人勝手に楽しいと感じるのじゃなくて、見てくれてうれしい、という気持ちを持つ。
うれしい、という気持ちには感謝の気持ちが入ってますから、まず観客と自分の間に『感謝』というものを置くんです。
武道に型というものがあるように、最初は形だけでもいい。
まず、『感謝』というものを置く。
不思議なことですが、最初にそうしてしまうことで、劇場の中を支配する気、その日その場の空気みたいなものを上手にコントロールできたりします。

ですから、ベースには何が必要か?
といったら、それは感謝なんです。

パフォーマンスをするのに最初に場をつくる、というのはとても大切なことです。
まず皆さんに感謝の念を持って始める、ということはすごく有意義な場をつくることになります。

そうやって自分で場をつくり、皆さんからの視線を感謝を持っていただくと、それを自分のエネルギーとしてたくさん使えるんです。
皆さんの視線をエネルギーとして元気にパフォーマンスできる。

そして、ここからが今日のポイントなんですが、

私が話す → 皆さんが聴いてくれて、いいこといってるなと思って私に喜びの視線を返してくれる → すると私はもっと元気に話す→ そのパワーが皆さんにまた伝わる
という風に、パフォーマーとお客さんの間にどんどんフィードバックが起こって、ここにひとつのエネルギーの場ができるんです。

ですから大勢の人を相手にプレゼンテーションをするとき、みんながグッと乗り出して聴いてくれているようなときには、場がいい場になってるんですね。
聴き手とパフォーマーの気がマッチングして、エネルギーがぐるぐる回りだしているとき。
それをステージでつくってほしいんです。

それなしには感動につながるステージにはなりません。