「自律神経が整う驚きの発声法」2.自分で自律神経を整える方法

まずは人間というのも哺乳類ですから、適度な運動が必要です。
また適度な運動をすると、身体の中で『成長ホルモン』というのが整います。また成長ホルモンが出てくるとよく眠れるようになるんです。
よく10代のとき、すごく眠かった時期があると思うんですが、若いとき、なんであんなに眠かったのかというと、若くてどんどん成長している、どんどん細胞が分裂しているときというのは成長ホルモンがガンガン出てるので眠くなるんです。
で、その状況をいま作ろうとしたら、運動するんですね。
運動したら自律神経もいい感じに整ってきて、自律神経のバランスがとれると成長ホルモンが出てきて若々しく生きられます。
お肌もきれいになって、喉の粘膜もツルツルしてくるから声も出やすくなる。
ですから成長ホルモンを出し続けるために適度な運動をするのはすごくいい。

次に、入浴。
シャワーですませるより、湯船につかるほうがいいです。
なぜなら、お風呂に上手に入ることで身体の中の血流をうまくコントロールすることができるからです。
よく熱いお風呂にわっと入ると、熱いんだけどひやっとするような「熱寒!」って感覚になったりしますが、それはどういうことかというと、熱いところにバンと入ると、身体の表面に膜ができるというか、血管がキュッと締まって交感神経が刺激されるんです。いわゆるヒートショックですね。
そうしたら身体はどうするかというと、そんなに簡単に熱が身体の中に入ってこないように表面にある血管をきゅっと締めて、心臓とか脳とか、そういうところに直接熱がバーン!といかないようにブロックするんです。ですから熱いお風呂に入った瞬間、ひやっとするのはそのためなんです。

では半身浴。
自分の体温と同じくらいかちょっと上くらいのぬるいお風呂にふわんとつかってると、じわじわ汗をかいて、身体の血流がよくなるという方法ですね。
ところが熱いお風呂に入って血流を促すという方法があります。
わーっと熱いお風呂にしばらく我慢して入ってて、汗のひとつも出てくるというころになったらパッと出て冷たいシャワーをかけます。
胸をさけて足からいきます。両手、両足、おしり、背中、あたりまで、そして最後にお腹いって胸、心臓から遠いところからいきます。
これは心臓の悪い人にはやってほしくないですが、温冷療法というやつです。
熱いお風呂と冷たいシャワー、これを3回繰り返します。
最後つめたいのでキュッと締めてほしいんですけど、これをやると身体の中の血液がよく回るようになるので、それこそ自律神経の整ってない人、アトピーの人、夜あんまり眠れない人、冷え症の人などにはこの温冷療法は非常に効きます。

それでは次に、呼吸を使って自律神経を整えよう、というお話に入りましょう。

わたしたちの中には感覚器といって、いろんなものを感じられる器官があります。よく『五感』なんていいます。
まず皮膚、触覚です、次に見ます、視覚です、くんくんと匂いを嗅ぐ嗅覚、そして聴く、これは聴覚というやつです。そして味覚。これを五感といいます。大体ざっくりいってこの5つですけれども、実はほかにもうひとつ、『深部知覚』っていって、身体の中のほうで何かが動いてる、揺れてるとか、深いところで感じる感覚とかもあって、言いだしたら細かいことがいろいろあるんですけれども、ざっくりいうと五感です。
ではこの五感がもしなくなってしまったらどうなるんでしょう。
人間、すごい不安になるんです。
見えなくても匂いがしなくても聞こえなくても味がしなくても不安になる。もし五感がぜんぶなくなったらまるで暗闇の中にただぽつねんといるような感じです。

これは医者として学んだことで自分自身で体験したことではないんですが、いわゆる覚醒剤だとか、いろんな幻覚を催すような薬物、ああいう精神を惑わすような薬を飲むときというのは、なんでそういうものを好む人がいるかというと、いろんなものに縛られないでボーっとする、その薬を飲んでいる間は悩まなくてすむから、ということで、そういうものに耽溺してしまう人が出てきてしまうんですね。ただやりたいときだけやって、そうじゃないときやめていられることができたらまだそれほど問題はないんでしょうけど、たいていそういう薬物、毒物というものは非常に中毒になりやすいんですね。たとえばタバコなんかもそうですが、タバコをスーッと吸ってる間はホッとする、ちょっとだけ頭がよく働くような気がする、それアドレナリンが出るからです。
ちなみにタバコも自律神経を崩します。
タバコの中にアルニコチンというものも中毒になったりするんですけれども、その手のお薬というのは何か爽快感とか、快感とか、不安を取り去る力が瞬間だけどあります。
でもそれがなくなってくるとまた逆に不安になったりツラクなったりするんですね。だから要するに、人間というのが見えない・聴こえない・自分から音も出せない・そして立ってるのか座ってるのかもわからない、また物を触ることもできない、匂いも味もなんにもわからない、そんな状態になってしまったらとても不安な状態、ある意味、麻薬の禁断症状に陥ってるような感じ、といってもいいかもしれないです。そうするともう不安が不安を呼んでとんでもない自律神経失調、いや自律神経失調どころじゃない大変なことになってしまいます。

では、そんなときに自分のこころを安定させるためにどういう方法をとるのか。さっきいったように温冷療法をやる、まともなものを食べる。昨今イライラしている人はビタミンCやカルシウムが足りなくてイライラしている人がいっぱいいます。
そして「イライラするんです」といって心療内科や精神科に行くといろんなお薬が何種類も出てくる。それを飲むことでまたガタガタになるということがあります。

これから話す方法は、手軽に、ご自身ひとりで家ででき、まったくもってお金もかからない、自分の身体ひとつで自律神経を整えることができる方法です。
それをこれからみなさんにお伝えします。

まずこれは姿勢が大事です。
本当はみなさんに床に座ってやってもらいたいんですが、わたしも椅子の上ではできませんが、、、仮にちゃんと胡坐をかいた状態だとして、両脚組んだ状態のことを結跏趺坐(けっかふざ)』といいます。