ボイスチェック・ソングチェック Part6.5.ゲド戦記 テルーの唄②

歌を上手に歌うことに一生懸命なりすぎると、実はシンドイんです。
でも語り部になるというか、歌手はまず歌詞のドラマを自分のなかに落とし込んで、その絵の中に入り込んで語るように歌うと、自分も気負わずラクに歌えるし、聴き手にもそのドラマを見せてあげることができて、なおかつ自分も気持ちよく歌えます。

ですからいまの彼女のように、自分の好きな歌をさらに上手に歌いたい、どうやったら上手に歌えるか、ということですけれども、これは本当に真理として覚えておいてほしいんですけれども、歌を上手に歌おうと思った時に、歌は上手に歌えなくなります。

まずは譜面に書いてあるとおりに声を出したらいい、実はそれが大鉄則なんですね。
だからいままで自分が歌を歌ってて、なんかうまくいかないと思っているとしたら、それはうまくいかそういかそうというところに意識がいきっぱなしになってしまっているゆえにうまくいかなかった、という場合がとても多いです。

では、それをなくすためには、といったら、ひとつづつの音、ひとつづつの単語、そしてひとつづつのフレーズ、この歌でいうと、

Yuu Ya Mi Se Ma Ru Ku Mo Noo U Eeeee

と、前にも言いましたが、母音を大切にしましょうって。
これくらい一個づつに気を遣って母音をしっかり出してほしんです。
まずはこれをきっちり声にする。
それで一個づつの音がちゃんとできてきたら、こんどは単語をやる。
それができるようになったらこんどはフレーズ。
そしてワンコーラスまでできるようにする。
そこまでいったらまた情景を思い浮かべるところに戻る。
で、そういうことをひとつづつしっかりやっていったら、自然と歌詞の情景に合った声が出てきます。
それが人間の感性というものです。

テクニック的なことをいえば、母音のところをしっかりハズさずに、口をしっかり開ける。
音を伸ばさなきゃいけないところではしっかり腹式呼吸を使う。
でもテクニックだけではいい歌は歌えません。
歌の中にあるドラマと自分のこころが通い合わなければ歌えない。
それは素直に歌の世界を受け入れればいいことで、よっしゃ、上手く歌ってやろう! と意気込むとまた違うことになってしまいます。