「スマイルボイスでリフトアップ?!」4.脳と身体を連動させる

Dr.松永:
ちょっとここでおさらいをしたいんですけど、経絡の3つある軸を整えるために頭をギュギュギュとまずやると。

貴望里絵:
ほんとはそうやって3軸と頭を別々にやればいいんですけど、それだといろいろめんどくさいので、それを『スカイフック』、これをやるだけでさっきいってたことが一発で整いますから、身体も軽くなりますね。
これを朝1回やるだけで身体が軽くなって、掃除もラクにできるようになります。

わたしはいま、音叉を使った『キネシオロジー』と東洋医学の五行が合わさった最新の脳科学を勉強しているんですが、いまやったのは、脳科学の先生たちが人体をぜんぶ調べて作った、理にかなった身体動作なので、これを完璧にされると、ちゃんと身体と脳とが連動するようになります。
ですので毎日1回でもこれをされると、1週間後には「あれ? いままでと視界が違う、見えなかったものが見えるようになった」というようなことが必ず絶対起こると思います。
なぜかというと、寝てる脳がこれで起きるからです。
脳を起こす方法や、寝ている身体の機能を起こす方法はまだまだたくさんあるんですけど、今日はいちばん基本の基本である、自分の身体の軸を地球と宇宙の磁場で整える、ということを凝縮してやってみました。

Dr.松永:
なるほど、なるほど・・・、わかりました。
じゃあ、先生、3軸を整えた、スカイフックをやった、身体の詰まってるところをすっきりさせた、左の後頭部のところにいっぱい熱量が集まってストレスが溜まってるのを、こうやってロダンの、じゃないけど、、、、

貴望里絵:
そのロダンはやめてほしいんですね!
これをやるならなるたけ胸を張って、胸のここに胸椎12番っていうのがあるんですけど、ここって日本の女の人のブラジャーの位置なんですよ。日本製のはうまくできてて、ちゃんと女性の人体工学に基づいて作られているので、ちゃんと1番大事な胸椎12番のところにブラジャーのホックがくるようにできてる。よその国に行ったらもっと低かったり、ズレてたりするんですけど、やっぱり日本のはすごいなあ、と思います。
それで、この胸椎12番というのは、たとえば腰だけで背中をうしろに曲げようするとほんとに稼働率は腰だけで終わりなんですが、でもこの胸椎12番というところを、、、よく『胸を張る』といいますが、キュっと張ってやって、それでぎゅーっと後ろに腰を曲げると、いくらでも曲がるんですね。・・・・つまり、そのくらい人間の身体というのは要があって、腰も要だけれどこの胸椎12番というのは、たとえばここをコンコンコン・・・と叩いて「元気ですか?」と問いかけたら、ダイレクトに脳に行くといわれています。命令がちゃんと脳に届くといわれているくらい胸椎12番、そして『胸を張る』ということはどれだけ大事かってことです。
ですからなるべく『ロダンの考える人』じゃなくて、顔を前に向けて胸を張ることで、いままで下向いてウジウジ考えてたことがぜんぜん楽になって考え方が変わります。

Dr.松永:
まずは身体のそういう凝り固まったところをほぐしてあげて、そうやってじゃあ、まずは歌のひとつでも歌ってみようかとなったら、声も軽くなってぱーん!と歌えるわけですよね?
先ほど先生が「ロダンはアウト!」っておっしゃったんですけど、実際これは心理学でもいわれてることで、にんげん悩むときはやっぱり自然と下を向きがちなんですね。でも身体を起こして上を向くと、もう悩もうと思っても悩めなくなるんです、不思議と。

貴望里絵:
そうなんですよ!
そして、わたしがもうひとついいたいのは、脳と身体は連動していて、顔の筋肉と脳は連動している、ってことが判明しているということ。
だから、身体から脳を起してやると必然的に顔も上がる、ってことなんです。あの、、、それでさっきいらっしゃったときよりか(みなさんの)お顔も明るくなってるんですよね。
いまやった動作だけでもぜんぜん血流が変わるし、無理なストレッチでもなくてほんとに簡単にできることなので、これはいいなあ、思います。

Dr.松永:
それで、そういう状態でお声をだすと当然お顔も上がるということなんですけど、先生自身も女優をやってらっしゃるからみんなの前で演技をされることもあると思うのですが、そういうとき、どういうことを心がけてお
声をお出しになりますか?

貴望里絵:
いまだから気づけたことなんですが、わたし時代劇の女優だったので、カツラかぶるとき必ず羽二重というのをするんですね。
それで、羽二重をつけるとぜったい顔がこう、上に吊るんですね。
それで着物を着ると、着ている間に自然に身体の軸が整うんです。
それで見てると西洋のミュージカルなんかをやってらっしゃる方はストレッチなんかをたくさん、されるんですけど、案外、日本の時代劇の方はストレッチはされないんです。
メークをして、羽二重をしてカツラをかぶり、顔をきゅっと上に上げるとまぁ、脳にスイッチが入るわけですよね、それで着物きて身体の軸も整って、この腰の入った静かな動きをするだけで、ちゃんと舞台がはじまるんです。自然と声も大きく出て。
わたしはそういう中でミュージカルの人たちは怪我しないようにっていっぱいストレッチやってるのを見て、「あ、これは日本の文化っていうのは、(西洋とは)違う力を使っているんだな」ということを知らず知らずのうちに体得していたんですね。だから意識もなく(脳の)スイッチが入ってたんだと思います。

Dr.松永:
確かに人間の脳というのはいろんなことを統合してるんですね。
あの有名な養老先生が書かれた『唯脳論』なんていうのを読むと、「脳ってほんとに大切な臓器だなあ!」と思いますが、先生自身人が書いてらっしゃるように、実は脳って後からできたものなんです。
ミミズに脳ってあんまりないです。
ゾウリムシやミジンコにもあんまり脳はありません。
要するに、筋肉とか、先に動いてるものがあるのが動物の成り立ちです。ところが人間みたいに高等動物になってくると、いろんな筋肉をいっぺんに連動して上手に動かさなきゃならない。
それをぜんぶ統合してやってくれているのが脳みその役目です。
ところが脳がそうやってあらゆるところのバランスをとってくれているんですが、その中でもどの部分にいちばん脳が割いているかというと、それは『顔』なんです。
で、わたしたち耳鼻咽喉科医というのは意外と首から上の脳みそと目ん玉と歯以外は扱うんですけど、この顔を動かす顔面神経のお勉強はしますし、顔を叩かれてイタイと感じる知覚神経、三叉神経というんですけれども、これは指先の細い神経なんかとくらべるとすごく太いから、とても大切な神経なんだなとわかるんです。
とすると、その太い神経を通じて脳みそは目いっぱい『顔』という面白い臓器をコントロールしてるわけで、同時にまた、その顔の表情というのを読んで、人間の脳というのは活性化されるようになっているということです。
ですから、いまの貴望先生のお話にありましたように、首から上の状態をできるだけフリーにしつつ、また身体全体もフリーにしてラクにしてあげると、とうぜん表情もよくなるし全身軽くなる。
それは喉の動きともお顔の動きとも関係しますし、声ともすごく関係します。