母音と子音の発声の違い3.母音に色合いをつける子音のはたらき

昔々、「いろはにほへと」といっていたよりもっと前の話、そのような時代において日本語は濁音を好まなかった。
「がぎぐげご」「ざじずぜぞ」というような音は忌み嫌われたので、そういう音が少ない、ほんとうにやわらかでたおやかな音というのが用いられてきました。

さて、母音にそれぞれくっついて、母音の色合いをはっきりさせるのが子音です。

「あいうえお」の世界だけでもこれだけの違いがあるわけですから、「あいうえお」のエネルギーの流れに性格を与えてくれる子音が変わると、またエネルギーが変わってきます。

か行、「かきくけこ」がつく音のイメージを考えてみると、Kは鋭さが出しやすい。
さらにそれが濁音の「がぎぐげご」になると、もうキツイ、うるさい、イメージ。
「ギャング」、「ギャンギャンうるさい」「ガンコおやじ」みたいな、強いうえにザラつきがあって、嫌なものを表す言葉が多い。

では、さ行はどうか。
Sの音はというと、「さわやか」「しあわせ」「すずしい」「せせらぎ」「そよかぜ」なんていうふうに、空気とか水の流れ、そういった音を表現するのに使われる子音です。

た行はどうでしょう。Tの音はリズム感がでる。
破裂音にして、タッタッタッ・・・とか、タンタンたぬき
とか。
拍子をつけやすい、リズムやテンポをつけやすい子音です。

次は、な行。
実は「な」と「ま」は特別な音です。
どう特別かというと、鼻が詰まっていると出にくい音。
「通鼻音」といって、鼻が通ってないと出ない音なんですね。

古人は、この「な」と「ま」を上手に使って日本語をやわらかくしてきました。
お能のうたや祝詞などを思い浮かべたらわかりますよね?

つまり「な」と「ま」は、やわらかくするのに使える。
はっきりしていないものに使われる子音です。
それぞれについていうと、「な」は隠れているものとか裏にあるものを表現するのに使われる子音で、「ま」は母性、母親のありがたさを表現するのに使われる子音です。