あなたの声のキャラクター 2.声からわかる人の性格

年中タバコを吸っている人の肺はあがいています。
あがくとどうなるのかというと、深い声が出せなくなります。
「あー」と長い声を出すだけのたっぷりした息を肺に溜められなくなるので、吐く息の勢いでもって声を押し出すような、掛け声のような短い声しか出せなくなり、長いフレーズをゆっくり話すとか、ロングトーンを歌うというようなことができなくなります。
実はそういう人というのはすごく繊細でイライラしやすい。
その繊細でイライラしていることを隠すためによけい一生懸命にタバコを吸ってしまっている、
というようなことが実情としてよくあります。

声帯と喉ではどんなことが関係しているかというと、よく『生唾をのむ』というような表現があります。
なんだかすごくイライラするとか、喉に何かがいつもひっかかってるとか、喉にピンポン玉がはさまったみたいな感じがするとか、そういうのを我々耳鼻科医は、『ヒステリー球』とか『梅核気』といったりします。
喉がちょっと詰まったような感じになると、やっぱり声も気持ちよく「あー」とは出ずに、詰まった感じになってしまいます。
こういう人も繊細な人です。

じゃあ、声を出すときに繊細じゃなくて鈍感なほうがいいの?
といわれると、そうじゃありません。

でも声を出すときは、大らかでのんびりしていて、ほわ~~んと声が出せるほうがいい声には近づきます。

こんなふうに日々の生活や習慣だけでも声は変わってきます。
そして『いい声をつくる』ということは、ある意味で自分の性格を良くすることにもつながります。

人間は成長すると声も変わります。
どうしてか?
成長すると経験がいっぱい増えます。
誰しもツライ経験や悲しい思いはあまりしたくないものですが、でもツライ経験や悲しい思いをすると、少なくともこんな思いはできるだけ自分の身近な人にはさせたくない、と思う。
悲しい経験がその人に他人を思いやる気持ちを持たせる、そういうい声を出させる。

人間の脳はいろいろな経験をするなかで、その時々に聴いた声を脳に記憶していきます。
いい経験とともに聴いたいい声を、ひどい経験のなかで聴いたひどい声を蓄積していくのが人間の脳です。
ですから笑い声のなかで育ったのか怒鳴り声のなかで育ったのかというのは人の性格と声を形成するうえでとても大きいことだといえます。