「発声が教えてくれる作曲法」4.ストーリーにメロディーをつけて歌ってみる

わたしがいま書きだしたのは、あくまで曲のストーリーで、歌の歌詞ではないです。いってみれば脚本みたいなものです。
でね、ここからまずやっていただきたいのは、このストーリーを何度も朗読して、自分の気持ちによりフィットするようにイメージアップしていってほしいんですね。
何度も朗読していくうちに、なんとはなしにこの行間から音が出くるんですね。
どういうことかというと、全ての言葉にはイントネーションというものがあります。
そのイントネーションのつらなりっていうのはかならずメロディーになってくるんですよ。

それは子どもの頃のことを思いだしてくれるとわかっていただけると思うんですが、友達を遊びに誘いに行って「○○ちゃーん、あーそーびーましょ!」なんて、節付けて呼びかけたりしませんでしたか?
あの感覚です。

そんな感じでストーリーをなんとなく適当でもいいから節付けて歌ってみる。それでメロディーが出てきはじめたら横に録音機置いといて歌ってみる。
それを後で譜に起こします。
どういうことかというと、録音したメロディーを聴きながらキーボードを叩いてひとつひとつ音を拾っていくんです。

自分で歌うのはできるけど譜に起こせない、という人はたくさんいます。
そういう人はピアノがガンガン弾ける人に頼んで譜に起こしてもらうというのもありなんですけど、やっぱり曲を作る楽しさっていうのはそういうあたりのこともあるので、楽しみでやるにしても、まじめにプロになろうと思ってやるんであっても、それはできるんだったらやってみたらいいかな、と思います。

それがなかなかできないとなったら、最初に話した例のアデルの歌(自分の好きな歌)ですよ。アデルの歌のコード進行ですよ。
自分のこの情景に合うように、アデルの歌のコード進行をはめてみるの。
それで曲作るって手もあります。

でも少なくとも自分が作ろうという曲のストーリーがはっきりしていれば(たとえ借り物のコード進行でも)説得力というものはでてくるし、しっかりしたメロディーラインが作りやすくなるんですね。

そしてこういうことは何度も何度もやってみることによってできるようになるものですから、できなくてもやってみることですね。
じゃないと、いつまでたってもできるようになりません。