「歌う時の自分の声のイメージってどうするの?」2.デッドな音とライブな音

『無響室』というのがあります。
私たちがよく声の実験をするときに、音が変に響いてしまうと音の実験ができなくなるので使う部屋のことですが、玉子ケースってあるじゃねいですか、グレーの紙綿みたいなの。
アフリカではあれを壁中に敷き詰めて無響室を作ったりしています。
意外とあれが音が沈むこむから音がデッドになるっていうんですが、口の中をもしそれで表現しよとすると、口をパーンと張らないでボソっとした感じ。口の中の粘膜がちょっと垂れているような感じにすると、ボソンボソンボソン・・・というような声になります。
それを口角上げてやるだけで口の中の筋肉がカーン!と緊張して響きが良くなります。
こういうのを『ライブな音』っていいます。
それが口角を上げることの効果です。
口角効果!!!

それによって口の中の容積も広げられるし、中の壁の緊張度も上げられるので、音はハリのある明るい感じの音になります。

口には『口輪筋』といって、口のまわりを輪っかのように取り囲んでいる筋肉があります。だから口を大きく開けるとワッと開き、小さくするとキュっとすぼみます。
やり方次第では口は縦にも開くし横にも開きます。
ただし口を横に開けて歌う歌ってあまりないですよね?

だからしっかり口の中を開けて歌うために、というと、口を縦に開ける意識で歌いましょう、ということを先生は生徒に言うわけです。
「あーーん」と縦に口を開けることで引っぱり伸ばされるでしょ?
口が引っぱり伸ばすと口の中にも緊張感が出てテンションがかかるんです。それで音はまた輝きを増すんです。
口の開け方ひとつで声に深みを出しやすくなったり響きを与えやすくなります。それはただ単に「あーん」って上下にしっかり口を開けましょう、ということなんです。

そしてそのとき副次的な効果が生まれます。
しっかり口を縦に開ける意識をすると、喉が下げやすくなります。