「下手でもうまく聞こえるカラオケ唱法」4.母音をプッシュするとノリがでてくる!♪

Dr.松永:
何かいま、好きな歌ちょこっと歌ってもらうことできますか?

Aさん:
いま練習してるのは『オリビアを聞きながら』です。

Dr.松永:
ああ、懐かしい曲。

・・・・・・・・・・

Dr.松永:
それをね、とにかく母音を立てながらやっていくでしょ。
自分の中でいつもより音は回りやすくなりますわ。
ぜったいに。
たとえば昔エルヴィス・プレスリーが歌ってた歌でこんなのがあるんですけど、あの人は息混じりに歌うことでこのピンポイントの発声をやってたんです。
で、そんなふうにやるとなんか乗るねんね、みんな。
もちろん、コンサートで2時間も歌ってたら声枯れてきてピッチもへったくれもないようになるねんけど、でもここだけ押さえとくと、意外とエネルギー回ってみんなでたのしいなる。
なんかいま歌えるような歌あります?

Bさん:
バラードなら・・・・・

Dr.松永
いいですよ!
でもバラードでもこれをきっちり押さえたほうが意外と音が回りだす、ということがあるんですよ。

・・・・・・・・・・

Dr.松永
いいですね。それこそ今日のテーマにばっちり。
・・・・・・・と、こんな感じで練習のときにはちょっとデフォルメするくらいに母音を強調してしっかりピンポイントの発声で歌うと、(この曲は)どこで力を入れたらいいのか、どうやったらバラードが回るのか、、、、、、、
たとえばムーン・リバーって曲があります。
最初にこんなふうに母音を強調して歌う練習をざんざんやっておいて、それからさあ、本番。みんなの前で歌うときはふつうのバラードらしく、やわらかく歌おうかな、というときにも、そうやって練習しておいたらレガートで歌っていても、ちゃんと自分のなかではリズムをとらえて、テンポはかって、裏のビートも使ってバラードが回るようになってきます。
なんかいまクラシックでちょっと歌えるようなのあります?

Cさん歌う。

・・・・・・・・・・

Dr.松永
で、それをちょっとだけ母音をプッシュしてやってみて。
それやるだけでちょっと感じは違うんじゃないでしょうか。
どうです?

Cさん:そうですね。

いますぐパッと歌いたいの、あります?

Dさん:
そうですね、、、、
バラードで、イーグルスのデスペラードって曲があるんで
すけど・・・

Dr.松永
おお、かっこいいじゃないですか!
シブイなあ・・・

Dさん:
歌詞を最初しか覚えてないんですけど・・・
Dさん最初の歌詞を歌う。

Dr.松永:
デスペラードという言葉の言語のベースはたしかスペイン語からきてると思うので、ここはやっぱり母音を強調してしっかりどーん!と歌ったりしてると思いますよ。なので母音をガンガンガンと押さえてやると感じが出てくると思います。そんな感じでちょっとやってみて。もういっぺん。

Dさん歌う。

Dr.松永:
うん! そのほうが乗りがいい。ぜったい。
そっちのほうがカッコイイと思います。
さて、なんかない?
能はどうやろ? 能は。
ちょっと一節やって。

Eさん:高砂だったら・・・

Dr.松永:
ああ、高砂、いいですね! 高砂やって!

Eさん高砂うたう。

Dr.松永:
そう。やね。そやから、それをほんとに母音をきっちりや
んのよ。
たあ~かあ~さあ~ごお~やあああああーーーー
こうおおのおーうらあふうねえにいいいーーー
って。
母音が、実は細かく二重母音になってます。邦楽は。
そこに感情とかいろんなものを乗っけてるんですけど、そこを大切にしてやるとすごく謡に粘りが出てくるんですね。
それが邦楽的なリズム、テンポになって面白みが増します。
ちょっとそんな感じでやってみて。

Eさん謡う。

Dr.松永
イエーイ、かっこエエやん!
ってことになるわけです。

というのが要するに、母音をきっちりすることで、そこにエネルギーも乗っけやすくなるだけじゃなくて、リズムがテンポが、しっかり明確に(聞いている)みなさんにお見せできる、ということなんです。
これはほんとに、ロックであれ、日本の邦楽の謡いであれ、クラシックであれ、ぜんぶ共通です!
面白いと思いません?
だからほんとに音楽っていうのはすごく深い芸術なんですけれども、でもこういうことをちょっと知ってるだけで、みんなで楽しむ場を盛り上げる、という意味での音楽ではとてもいい使い方ができるんじゃないかと思います。

で、そういうふうにしっかりやっていると、なんかしらないけどみんなの気持ちはよくなってくるので、ヘタでもできるカラオケ唱法、ではないですけれども、ヘタでもなんとか形になってきます。
音楽に必要な要素というのは、メロディーも、リズムも、テンポも、ハーモニーも、そしてそれこそ気分的なものまでふくめてたくさんありますが、そういういろいろなものがぜーんぶできて初めて歌うたっていいの、といったら、
そうではありません。
まず最初、最低なにか押さえるというのだったら、リズムから押さえましょう。

いまは歌を歌うというと、たいていみんな耳にイヤホン突っこんで、ネットやCDから音源聴いて簡単にぱっと歌っちゃうけど、それじゃもったいない!
いま話したようなことを知ってたら、ぜったい譜面を用意しようと思います。
譜面をちゃんと用意して、その一小節の中にどれだけ音が入ってるのか、それをちゃんと目で見て、視覚的にも感じて、ふんふん、と思いながらやってみたら、歌はすごく歌いやすくなります。