『東洋医学で喉をリラックスする方法』3.木火土金水と経絡と声の関係

『人から言われる』というのも『気』なんですね。
人から褒められたり、いいこと言われたらうしくなるでしょ、なんとはなしに。
それも気なんです。
それで、いいこといわれたらうれしくなってポッと頬が赤くなったりしますよね? どうしてか。いいこといわれるだけでここ(頬)の血流が上がるんです、人間。
たとえば、ここにいらっしゃるみなさんに「絶対いまから梅干しのことだけは考えんといてくださいよ。めっちゃくちゃ酸っぱい梅干しですわ。ぜったい考えたらあきません。
Don’t image never Umeboshi!」といったら、絶対みんなが考えるのは梅干しなんですよ。
いくら考えるな考えるなと言われたって、そんなに梅干し梅干しって連呼されたら頭の中は梅干しだらけになる。そうしたらもう口の中が酸っぱくなってきません?
つまり、言葉で梅干しの話をするだけで人間の身体は変化するんです。ね。だから嫌な言葉をずっと言ってるとたとえそれがウソであっても噂であっても、聞いてる相手のほうはだんだん嫌になってくるし、言ってるほうもおかしくなってくる。
逆にいつもいい言葉を言っているとすごくよくなってくる。
だからこの14筋体操でも言葉と共に動作をするだけで、ほんとに筋肉の動きが楽になってきます。

では次もやってみましょうか。
『督脈』(とくみゃく)っていうのがあります。
督脈は、お尻のちょうど尾てい骨のあたりからぐるーんと回ってお鼻までです。こんな感じで回っています。
腰にこんなふうに手を置いて、こういう動きをします。
ヒュッヒュッと。
意外とみんな肩甲骨動かさないからこれカタかったりします。
ところがこれがいま言ったイメージでいいんですけれども、お尻のところから前のところにエネルギー流すぞ流すぞとやっといてあらためて動かすと、あれ? ちょっと軽い、となります。

そういうやりかたでポイントになる筋肉が全部で14個ある、というのをこのあいだちょっとお話しさせていただきました。
全部で14個の筋肉を上手に動かしてあげると身体全体の動きが良くなる。
で、身体全体の動きが良くなると、たとえば「あめんぼ赤いなアイウエオ」とか滑舌よく言葉を言おうというときに一生懸命口を動かさなくても、身体全体の筋肉が整っているのでそんなに力まないでもポカンと胸のあたりかひらいてるような感じで、ラクに声が出しやすくなったりします。
それが、発声前にもこの14個の筋肉を使ってみましょう、というお話です。

それではまた木火土金水の話に戻ります。
こんなふうに5つのエレメントの間で相生とか相克でエネルギーが回っているのですが、それぞれのエレメントにはなんと人の身体をあてはめることができます。
まず『木』には胆経と肝経という経絡が入り、『火』には小腸系、心経、三焦系、心包系の4つが入ります。『土』には胃経と脾経、『金』には大腸系と肺経、『水』には腎経と膀胱系がきます。

さ、そこでここからは声の話です。
ここに書きましたが、木火土金水のところに『音声』というのがついてきます。『感情』っていうのもついてきます。
これどういうことなのか。
人間の誕生するとき、っていったらなあに?
そう、赤ちゃん!ですね。
この五行の輪は1年も表しているのですが、最初の『木』には、木々の芽吹き、春の雰囲気、人間でいうと赤ちゃんのイメージがついてきます。赤ちゃんが生まれてくるときというのは『オギャア!オギャア!』と大泣きして出てきますよね?
だからこの『木』のところは音声的には『叫び』が入ります。
また赤ちゃんはちょっと気分が悪いとすぐに怒っちゃいますから、『怒り』っていうのも入ってきます。
で、ここで面白いのが、ここに『肝』ってありますが、よく『疳の虫が騒ぐ』っていう言葉を聞かれたことないですか?
疳の虫が騒ぐというのはどういうことかというと、イライラしてかんしゃくを起こしているような状態のことです。
それを東洋医学では「あの人はいま肝の経絡が憤ってカーッとしてるんだな」っていうふうに言うわけですね。
で、まあ赤ちゃんに代表されるように、これからわあーっていうような声がここ(木)で出てきます。

そして、それも落ち着いてきて夏の雰囲気になってくると、この『火』のところでは『笑い声』になってきます。
楽しいな、うれしいな、なんか生き生きしてる、喜びいっぱい、ハッピー♪ って感じ。それがここの『火』の部分です。

じゃあ『土』はどうなるかというと、ここだけちょっとほかとは特別で、それぞれの季節のうつろいとでもいったらいいか、なんだかちょっと安定している、っていうのがこの土のところです。
だからここでは鼻歌でも歌ってる感じ、『歌声』なんかで代表されるものが入ります。

じゃあ『金』はというともう秋で、ちょっとさびしくなってくる。『枯葉』という歌じゃないけど、さみしい声です。
『深いため息』なんていうのが入ります。

で、それがもっともっと寒くなっちゃうと、こんどは「もうこれでほんとに春は来んのかな。だいじょぶなのかな。不安やんか。
え、どないすんの。こわいわあー」みたいな感じで『うめき声』なんていうのになります。