声の出にくい人の発声法 3.心因性発声障害と『あくび溜息法』

世のなかには声を出したくても出せない人がいる。
一番よくあるのが心因性発声障害といって、それはどういうものかというと、べつにポリープがあるわけでも病気でもないのに、すごくストレス高まっていて声が出せない。
そのように弱くなっているときというのは人は自然と他者に対して弱さを演じてしまう。
学校に行きたくない子供がべつに食あたりをしたわけでも下痢したわけでもないのにお腹が痛くなるのと一緒です。

おなじように心が原因で耳が聞こえなくなる心因性の感音性難聴というのもあります。
心が原因で音が聞こえなくなる病気です。

それで、とりあえず声が出せなくなった人に対してやってあげるメソッドのひとつとして先ほどの『あくび溜息法』があったり、もうひとつ、咳払いなんかを使う方法もあります。

それはどういうことかというと、人間はふつう声帯の左右2枚の粘膜のヒダがまんなかに寄ってきて下からほいっと空気が入ってきて声帯が揺れると「あ~」と声が出るんですが、これがなぜかストレスが溜まるとある程度のところまではヒダが
寄ってきても、それ以上はブロックがかかったみたいに寄らなくなってしまうんです。
それだとちゃんと声が出ませんから、そういうときどうしたらいいかというと『咳払い』をさせます。
咳払いが役に立つんです。
何故なら咳払いをするときというのは、声帯がギュッと寄ってきて離れるからです。

逆に咳払いが癖になってしまっているような人は声帯にタコができてしまいます。
ですから、ふつうの健康な人には咳払いは大概よくないんですが、心因性発声障害の人には役に立つというお話です。

ただ、いまここにいらっしゃる皆さんが、いますぐにちょっとでも声を良くしたい、歌をしっかり歌いたい、大勢の人が集まるところで大きな声で伝えたいと思ったときにはどうしたらいいかというと、まず赤ちゃんの声をイメージしてほしいんです。「オギャア! オギャア!」ってやつです。

いい声ってどんな声?
といったら、それは余分の力が入っていない無垢な赤ちゃんの声です。
そして、そのときの口の形はといったら、あくびをするときの広
く喉が開いた大きな口です。
そしてここから大切なのは腹式呼吸です。