「ボイスチェック&ソングチェック Part.7」2.Danny Boy②ハミングの効能

Dr.松永:
ハミングの話に戻って、ハミングのいいところって何か ?というとピッチが少しとりやすくなることです。
ハミングをするときに、鼻から抜ける空気がまるで矢のようになって音符のひとつひとつに当たるかのようにイメージしてピッチをとってほしいんです。

ピッチをとるときのイメージとしては、ちょうど目と目の間の奥くらいのところでとる感じ、っていうのがたぶん、とりやすいんですね。
人間の顔というのは、お鼻っていうと(見えてる)ここだけだと思いますよね、ここが主たるメインの鼻、鼻腔なわけですけれども、ところがその両脇に『副鼻腔』というのがあるんです。
また、目と目の間にも副鼻腔があります。
おでこの下にも副鼻腔はあります。
さらにはもう1個、脳の真ん中にもあります。
全部で4対、8つあります。

なんでそんなに空気が入っているのかというと、頭に骨がぎゅうぎゅうに詰まってたら、頭はただでさえ重いのに、もっと重くなる。
これ以上重くさせないために空洞を作っておこう、というのがひとつ。
もうひとつはやっぱり頭は大切です。
なんかでボコン!と殴られて凹んだりするとエライ目にあうのね、中の脳が傷ついたら人間は動けなくなるわけです。
こういう空洞があることで、ボカン!とやられても最近の車とおんなじですね、少し中に空気の層をはらんでて、ハニカム構造といったりしますが、間がクシャンと上手に潰れると、潰れる部分が少なくて済む。
ということで、こういうところに空気の層を溜め込むお部屋、副鼻腔があります。
そしてもうひとつ、ここからが私たちにとって最も大切なとこなんですけれども、音の響きをよくするために副鼻腔がある、といわれています。
音の共鳴腔としての頭蓋骨、声から出る言葉、歌、音ですね、それを上手に響かせるために、というと、こういうところに空気の層があることがよいとされています。
で、そういう空気の層を上手に響かせてあげると、『音感』というか、音が捉まえやすくなる。

音を聴いているのはなんだかんだいっても耳です。
空気の層が音で揺らされてブルブルブル・・・と耳の中に入ってきて、その空気の振動が鼓膜にヒットし、鼓膜が揺れれば鼓膜の振動が小さな骨を伝わって、このデンデンムシみたいな蝸牛を響かせて、それで音が電気信号に変わって脳に行って、それで音を感じるわけです。

だから、どちらかというと(音を感じる部分は)外側にあるのだけれど、ただ身体のなか頭のなかの空気を振動させるということにおいては、この空気の部分を上手に響かせて音を感じるとピッチのズレが少ない!
そんなわけで、ハミングというのはピッチをコントロールするのに便利だよ、ということです。

以下、次の人にかぶってます。