「腹式呼吸の秘密、その3!」3.息の支えと声の支え

ピッチをきっちりとりながら、音を正しく保ちながら、それでロングトーンもスタッカートも
きれいにやろうと思うと、支え、これこそが「息の支え」「声の支え」っていうやつ、
それが必要になってくるわけです。

じゃ、息の支え、声の支えっていうのはお腹のここでだけとれるものか、っていうと
そうじゃないんです。
身体の中の、空気の通っているところ全て、どこでも実は、支えってとれるんです。
いい悪いは別です。
それはその人の好みなんです。
だからたとえば腹式呼吸の息の支えは丹田~、ってこうくるわけです。
イメージからするんですけれども、でも基本は丹田です。
ただ丹田と関連づけられた膝とか踵とか足の裏でもって、息の支え~ってやる人もいはります。
それはどういうことかというと、けっきょくは丹田、横隔膜につながってくるんですけど、
イメージ的に、どこの筋肉をどう使うのかっていったときに、脚こんな感じにしてここだけで
やるとこんな感じね。

息の支えは丹田でーす・・・・

腹はしっかりしてます。ただ脚がぐらぐらしてます。

そしたら今度は息の支えは丹田から膝に降りて~

膝はしっかりしてます。足の先パタパタしてます。

ねー、これが膝の支え~

そして裏、踵までで、どんっ!

ってやったらあー

ってこんなふうになります。

だから、空気の入ってるのは肺なんですけれども、肺と関連づけられてる筋肉のどこで
息の支えを感じても、それはその人の勝手なんです。
でも、それはたとえば膝でも腰でも足の裏でも親指でも基本は、肺と横隔膜になります。

ところが、さ、次になるとちょっと、さすが「その3」やな! いうね、
もうひとつグレードが上の話をします。

はい、このふくらんだ風船を肺として、これが2個あるわけです、わたし。
お鼻、口、喉、気管、肺、そして、その肺とつながってるお腹。
お腹も、丹田の下のほうのお腹から、ちょっと上のおへそまわりから、それからちょうど
胃のあるあたり。と、みぞおちのあたり。
それぞれのポイントポイントで、自分の好きなところで、実は息の支えって作れます。

いちばん大勢の人が上手に歌を歌えずに失敗するときっていうのは、喉で息の支えをとってます。
だからさっきみたいに、上を向いて~ ってここらへんでいまはとっていますが、
喉でやってみます。うえをむーいて あーるこーおうおうおう・・・
ね、これすごく喉くるしそうに聞こえますね。
だって喉しぼってここでコントロール、調節いようとしてるから。ね。

じゃあこれ悪いのか。
違うんですね。
たとえばロックの中でもパンクロックみたいなのがありますけれども、
ある種のパンクロックなんか歌ってる人は喉にガンガン力入れてタコができようが結節ができようが
ポリープできようが全然かまえへんっていいながらも、そこであるていどの味だす人もいるんです。
だけどそれが意識して、丹田でも支えはとれるけど喉でもとれる、といってやっているのと違って
無意識的に勝手に喉に変な支えが入ってやってしまうと、あっという間にコントロールが
つかなくなって、喉にポリープとかを作っちゃいます。

だから基本は、もう何度も言います。
丹田と横隔膜、ここのコントロールにありますよと。
だけど、ここでちゃんとやった次に、どこらへんをメインにやっていくのか。

それはね、こういうことでもあるんです。
肺のいちばん下のほうをぎゅーんと引っぱって、、、あ、コレ面白いな、ちょうど。
ちょっとやってみますね。まず口だけ緩めます。
こうやってシューと出てますけど、こっちをグーンと引っぱると、ほら!
ちょっと音変わるでしょ?
空気の出かた変わりますね。
横隔膜しっかり下のほうに引っぱってやったら、ちょっと空気の出が遅くなる。
ね!

ところが、これをやれへんと、もうちょっと早く空気が出ていく。
それが、いまも言うたように、何度も言います。
お腹の下のほう、丹田のところに力を入れて外に張る感じ。
ん! って力を入れるんじゃないですよ。
外にぷわ~んって張る感じ。
それで、「マー」って声だすと、お腹外に張るので、そういうときは肺がめいっぱい
引っぱられるから、「マーーーー」って長く出る。

ここ(お腹)でやっているとこんな感じね。マーーーーって。
でもちょっとおへそまわりまで上げてみましょう。この意識を。マー
はい、ここに上げます。マーーーー
ちょっと上に上げます。マーーーー
あれ? 声のトーンがちょっと変わったのわかりますでしょうか?
マーーーー
ここらへんまで持ってきます。マーーーーー
ここ(喉)まできます。マーーーって。
これちょっと極端にやってますけど、だけどどこに意識をするかということで
人間の筋肉の使い勝手というか、(力の)入り具合が変わるんです。

たとえば、わたしはウェイトトレーニングがすきなんでよくウェイトトレーニングしてます。
こんなようなもの持って、それでガサっと持ってこんなことやってるんですよ。
で、こんなことやるわけなんですけれど、そのときにトレーナーさんがやってくれるんですね。
どんなふうにやってくれるのかというと、こんなことやってるときにトントン、トントンって
腕を叩いてくれはるんです。
左右差、バランスよくやるために、こっちかだけ変に力が入ってたら、こっちも叩いて
こっちも力入れるようにって、左右均等になるようにしてくれるんです。
人間というのは、トントン、トントンって外からちょっとでも触れてあげたり触ったりすると、
あ、ここに力入れなあかへんの忘れてたって、身体から反応できるんです。
頭にもその信号がきやすくなります。
頭が感じなくてもトントンってやると、不思議と身体のほうで動いてくってのがあります。

だからこの息の支えも一緒。
どん!と最初ここんとこ丹田に~力を入れて~、喉下げて声を出す~ってやってたのを、
じゃあちょっと上げてみようかなあ~ってここらへんを固くすると、
あ~、声が少し固くなる~、もうちょっと上だとさらに固くなる~
ここまでくるともっと固くなる~
・・・みたいな感じで。

音質が変わるし、パフォーマンスのやりかたがちょっと変わるんです。
そのあたりのバランスの違いがドイツ式、オーストリア式、イタリア式、フランス式、
みたいに、それぞれの国の特徴と、それぞれの流派の特徴、また、それぞれの先生の特徴と、
そのバランスにでてくるんです。

っていうのはなんでかっていうと、じゃ腹式呼吸で、さっきも言いましたように高い声
ぜーんぶ出せるのか。(といったら)
上手な人は出せます。
どん!と下げたらなんか喉も下がるから低い声もラクに出る。
だけれども、高い声がー ってやるときに、できるだけお腹のほうパンパンに張っといて
横隔膜下げて、喉も下げて、ってやったほうが、よけいに高い声が出しやすくなるんですけど、
ふだんからわたし声楽の練習してませんのでよけいにわかりやすいんだけど、
いくらこれやってたって、やっぱりふだんの練習をやってない人っていうのは
高い声が苦手だったりするんですよ。
ベル・カントで高い声だすの。

そういうときはちょいズルですけど、腹式呼吸の支えを少し上に上げてあげたり、
ここらへんまで持ってきて、それで高めに持っていくー
ってやったときはここにきてます、ここ。
ここがいちばん固いです。

・・・っていうふうに、ここにズンと張るのがいいんでしょうけれど、
それでぜんぶできればいいんでしょうけれど、
自分の目指す高い声にこのフォームですぐに持っていかれへんときは、
ちょっと息の支えを(上に)すらしてあげる、ってのもアリなんです。

ただ、それは、そういうふうに自分がいま、息の支えそこに持ってってんねんな!
っていうのを知ってやる、っていうのが必要。

それでは、これからみんなでやってみましょうということで、
まず、お腹。
いちばんわかりやすいのは、おへそなんです。
おへそのちょっと下のところね、そこんところをまずは最初、自分で持ってみましょう。
で、よくわたし2本でも3本でもいいんですけれども指を立てて、きゅん!ってお腹を押します。
で、この押した指を自分のお腹で外にグーンと出します。
はい、だしてみよう♪ ぐーん・・・。

じゃあ、最初に押し返さずに「マー」っていいますね。
ふつうに「アママママママー」って一緒にやりましょう。
いきます。

マーマーマーマーマーマーマー

こんどは押さえます。
いきますよー
これ、押し返しながらね。

マーマーマーマーマーマーマー

最期のほうになるとちょっと弱くなるはずです。
もう最初から最後までずtっと出しっぱなしのつもりでやってください。
もういっぺんいきますね。はい!

マーマーマーマーマーマーマー

はい、じゃこんどは、隣の人と一緒に、ごめんなさい、でちょっとお腹を触らしてもらいながら
はい、これでまたブン!とお腹を出しましょう。
だしたらそれで出しっぱなし。最初から最後まで縮めずに出しながらマーマーマーマーマーマーマー
はい。そんな感じ。
わかります?

はい、じゃこんどわたしがひとりずつ見させてもらいます。