「気持ちよく声を出すために、心と身体を整えよう」6.発声のテクニック

『Girl』って言葉ありますよね?
Girl 、ガール。
これ日本語の発音で書きますと、Gah ru 。ガーとル。2音なんです。
ところが英語で言うと、ガ、ア、オ、ル。で、これ実は4音から成っています。
このガからルまでの音を上手に出せないと、あんまり欧米語っぽくならないん
ですね。そこらへんの音をちゃんと作っていくためにはこのカエルの練習、
エオク エオク エオみたいなのが必要になってきます。

そういう発音でこの舌根(舌の根っこなんですけど)、ここの筋肉を訓練する
ことができます。
これも喉の奥を開けるには必要な訓練です。

そしてこんどは口の表面、唇ですね。
これはけっこうみなさんおやりになることあると思うんですけど
ブルブルブル・・・
できますでしょうか?

これができない人は、唇の横端、口角って言います、この口角のちょっと外下
くらいを人差し指でキュン!と持ち上げてください。
そしてブルブルブル・・・っとやるとすごくやりやすくなると思います。
プルプルプルルルルルルル・・・

これね、なんのためにこんなことするんだっていったら、要するに口回りには
力を入れてほしくないんです。
ここに力が入ってると、変な歌になります。
唇まわりはいつもフリーで楽ちんんでフニャフニャにしておく。
ぶわんぶわんぶわんって、ブルブルブルブブルブルルルルル・・・・・・・
ぶわぁーーーーーーーーーーん・・・っていう余分な唇の力が入ってない声、
これこそがご自身の(素の)お声です。
なんか変なところに力が入っちゃうと、これはご自身の(ほんとうの)声じゃ
ないです。
もちろん、声優さんなんかが役の声をつくるときに、自分の音を変えていくと
きにはこういうところに上手に力を入れてあげたりする。
そうするといろんなキャラクターがうまれるんんですけれども、ご自身の声
っていうのをつくるときは、口のまわりには力を入れずにふにゃんふにゃんに
しておくのがいいです。

じゃあ、唇がふにゃんふにゃんになったら、こんどは舌でルルルルルルルー
ってやつですね。ルルルルルルルラアン! ルルルルルルルルラアン!
これで唇と舌がラクに動くようになるとますます口まわりがいい感じになります。

ところが言葉ってね、ぜんぜん力入れないでいいのか、顎に力入れないでいいのか
っていうと、少しだけキュッと甘噛みするって感じが必要になります。
どういうことかというと、こんなふうにご自分の2本指をちょっとだけ軽く噛んで
いただけません? 痛くない程度に。
そう! その、ふ、と噛む程度の感じで、「あいうえお」と言ったときに、
ポハァーとだらしなく発音するんじゃなくて、「あ・い・う・え・お」とちょっと
だけ軽く噛むんです。

 あ・い・う・え・お

ハイ、指はずしてやってみて。

 あ・い・う・え・お

このほうが響きがよくなるんです。

どうしてかっというとね、キュッとこの顎のところが張ることになって、口の中の
共鳴腔が広がるんです。
それで、「あ・い・う・え・お」ってやってあげると響きがよくなるの。
そうすると活舌の聞こえ方にも明らかな違いが出てきます。
だから少しだけ軽いきゅ!という音の引き締めをしたほうが、口の中が広がるので
声がよくなる、ということがあります。

さ、では声をだしていってみましょう!

よく声って鼻から出すか口から出すか、っていうのが一つの問題になったりします。
鼻から息が漏れて出るお声と口からだけで出てるお声と2種類、2パターンあるの
ご存知でしょうか?

日本語、五十音ってあります。

 あ か さ た な は ま や ら わ ん

ってあるんですけど、どこかとどこかの行だけ口からじゃなくて鼻から出てる音で
作ってる音があるの知ってます?

じゃ、みなさん、鼻ちょっとつまんでください。
鼻をつまんでみんなでこれちょっと読んでみましょう。
いいですか?

 あ か さ た な は ま や ら わ 

どの音が言いにくかったかわかります?

な! そうです。 
な行です。
な行っていうのは、なにぬねの
鼻つまむと、な”に”ぬ”ね”の”

こんななります。

もう1個なんかわかる?
ま行。そうです。
な行とま行はこれ、鼻からの空気が抜けないと出せません。
ばびぶべぼ、、、になります。
それ以外は、あ!か!さ!た!は!や!ら!わ! 、、、口からで出せます。

よくね、歌の練習するときにマママママママーってやるでしょ?
それどうしてかっていうと、鼻からの音出しをイメージしてやってるんです。
だから、マママママママーってやってるときは実はお鼻からも音でてます。
鼻とお口から、両方。

ところが、あだのかだのさだのでいくと、これはほとんど口からも出せるんです。
だけど、鼻のほうからも出そう、ということで、はぁーーーーーーーって、この
音はいま鼻と口と両方から出てます。はぁーーーーです。だけど口からだけで出
すと、はあーーーーになります。

どっちがいいかっていうと、それはそのときどきの歌う歌とか声とか気分で変え
られるんですけど、でも、な行とま行だけは鼻の抜けがよくないと出せない音だと
思っていただいたらいいです。
だから「右斜め前の沼」とかいう言葉があるんですよ。
これ、な行とま行でいっぱい作った言葉なんですけどね、この「右斜め前の沼」
っていうのを鼻つまんでやると、△●□☆◆・・・・なんてなります。
キツイっしょ。

だから、そういうふうな鼻の響きをイメージする練習のときは、この「な行」と
「ま行」は欠かせません。
じゃあ、どうするのかっていうと、んーーーーーーーって、こんどはハミングね。
ハミングも鼻の響きを考えます。
フンフンフンフンフンフンフンーーーっていったときに、ガギグゲゴって音は
すごくキツイ音だから、メリハリをつけるために「ガ」を付けるんですね。
で、ンガ・ンガ・ンガ・ンガ・・・ウガァ~ウニィ~ウヌウゥ~とかってやると、
鼻のほうのひなん域(?)がわかるぅ~、ってなるので「うがあ」だの「うにい」
だのやるんですね。

それで「んまあ」なんてのもあります。んまあい! みたいなね www www
とにかく歌を歌うときにガギグゲゴを強くはっきり発音したら汚いでしょ。
それでンガンガやると鼻のほうにも音が抜けるのでやわらかく聞こえる、」って
いうので使う、っていうのもあるんですけれどもそれだけじゃない、ここ(鼻の
中)を空気が通ってるな、これが響いてるなっていうので非常に役に立つってのが
あります。

これが人間の鼻の構造です。
みなさん、鼻っていったらここだけだと思ってるでしょ?
でもね、お鼻ってここなんですけど、『副鼻腔』という場所があります。
このお鼻の付け根からここら辺に『篩骨洞』という副鼻腔、ほら穴みたいなのが
あります。
ほっぺの下には『上顎洞』ってのがあります。
そして、お目めの下のところには『全頭洞』っていうのがあります。
もう1個、『蝶形骨洞』って言って、頭のドまんなかみたいなところにあるんです。
全部で4種類の副鼻腔があります。で、この副鼻腔はふだんは何してるのっていうと
中にも粘膜が張っています。
粘膜が張ってるってことは、粘液、お水、鼻水が出てくるんです。
じゃあ、鼻水はずーっとそこに溜まるんですか?
ずーっと溜まってたらそれこそ蓄膿なんですよ。
ちょっとずつ溜まったお水はまた鼻の中のほうに降りて、知らないあいだに喉の
奥のほうにいって、ちょっとずつちょっとずつわたしたちはその鼻水を飲んでる
わけなんです。