「歌の世界をもっと豊かに拡げる方法」5.曲の思いを汲みにいく

いままでだったらほんとにのっぺりした音だったのが、伴奏の音をどんどん聴い
たり、みんなでコーラスでやったり、それからベースに入ってもらったりドラム
に入ってもらったりしてやっているうちに、豊かな大らかな音で歌えるように
なるし、、また全然逆に、8ビートでガ~ン!ザワ~ン!なんてやりながら全く
違う曲でやれるのかもしれないし、それはわからへんねんけども www

でも、その面白さってのがどんどんできる人はどんどんやりはったらいいんです。
でもそれが全然できへんとき、残念やけどまだバンドがいない、一緒に伴奏やって
くれる人もいなけりゃ、デュエットやってくれる人もコーラスやってくれる人も
いない。ってなったら、もうそれは今日びいろんな録音の機械が山のようにあるか
らさ、自分で録音機の前で楽器弾いてコードラインだけ入れておいてメロディーラ
インを歌うとか、その逆をやってみるとかやって、とにかくひとつ曲の中に眠って
るいろんな音をいっぺん出してみる、
で、最後にそれを自分の中でミックスして温めて、それでもういっぺんメロディー
ラインを歌ってみる。
っていうことをすると、絶対に音が豊かになるんですね。
それは単なる錯覚じゃないです。
ほんとにこれ、周波数でね、それをオシロメーターっていうので計ると波形が
きっちり出るのでわかりやすいんですけれども、声の音の波がすごく増えるん
ですね。だからそう意味で、なるほど、、、って。イメージをすごく狭くしちゃう
と、喉も狭くなっちゃうねんなあ、って、そういうことなんですよ。

だから、これはね、バンドでやってるんだったら、どっちかがリズムだけだぢだけ
でもいいんやけれど、たとえばこの曲だったら4分の4拍子の歌なのよ。だけれども
これを倍倍に変えていくこともできるわけだからさ。8つにしたり16にしたり
サンバ調にしたりしながら、まだこの曲の中に眠ってる音をどんどん引きずり出し
てくるような、リズムから音を変えていくようなこともできますしね。

そうやって、いろんなことをたっぷりたっぷりやったうえで、ああ、やっぱりこの
歌詞やったらこれくらいのリズムがいい感じやよねえ、とか、これも意外とお洒落
やん、とかおもろいやんとか、そういうことやっていきはるのはありやと思うんで
すね。

もういっぺん、そやからまず何もなしでこの曲、歌ってみましょうか。
音、最初だしますね。いきますよ。
1とー2とー3とー4とー1とー

 みんな歌う♪

はい。こんな感じですね。
そしたらわたし、ベースコードを付けてみます。

 ふたたび、みんな歌う♪

・・・ってまあ、こんな感じですね。
曲ってこう、だんだん盛り上がっていくと、ちょっとピッチが上がってしまったり
とか、そこだけフェルマータとかリタルダンドとか、ちょっと音を伸ばして、とい
うのがあったりすると思うんですけど、最後の最後はみんなでそうやって合わせた
らイイと思いますけれども、やっぱりこのリズムですねえ、リズムをきっちりとっ
ていくようにっていうのはすごく大切です。
特に合唱とか、伴奏つけてもらってやるときとかっていうのは、ほんとは最初は
オリジナルなものに忠実にやられて、そして後で相談してみんなで変えていくって
いうのがきっといい方法だと思います。

『気持ちをこめる』っていうのと、『気持ちを汲む』って別なんですよ。

気持ちをこめて歌う、ってありますよねえ。
この、気持ちをこめて歌うって日本語があるので、ついついみなさん、ぎゅっと力
を入れすぎるってのがあるねんね。
それをやりすぎるとまず喉が詰まるよね。
とにかく変に気持ちをこめようとすることで人間は身体にも力をこめちゃうねんね。
で、力がこもった瞬間に喉って詰まるんです。
で、喉が詰まると意外とピッチは崩れるし、リズム感覚も落ちるし、ていうんで、
歌を歌うときに気持ちを込めて歌いすぎる、いうのは実はいちばん危険やったりし
ます。
気持ちを汲んで、ってさっきわたし言いましたねえ。
これ今日のポイントとまったく一緒なんですが、どういうことかっていうと、この
曲でいうと、もう歌詞にはこう書いてくれてる、そしたらこの歌詞の裏には何があ
るんだろうと、どういう思いで作詞家はこの歌詞を書いたんだろう、っていうその
気持ちを汲みにいく、取りに行く、自分の余分な気持ちはあまり入れない、という
風にしたほうが声はイイ感じの声がでますよ、ってそういう話です。

CDとかレコードなんかをヘッドフォンなんかで聴いて聴いて聴いて、、、ってやる
のも悪くないんですけれども、それをやりすぎててその歌い手さんのバイブスをも
らっちゃいすぎると、自分tぴったり合う人はいいんですけれども、そうじゃない人
だとすごくツライことになるんですよ。
だからまずは譜面を見て、譜割を見て、リズムちゃんと読んで、でそこでピッチを
置いてやってってくださいね、という、そういうことなんです。

ある意味、変に歌詞を深読みしすぎると勝手に自分の気持ちをガーって入れたくな
るかもしれないけど、でもまずは歌詞を遠目(客観的)に見て素直に歌ったら、妙
に力入れることもないしね。

・・・とそういうような、みなさんが妙に歌に気持ちをこめすぎちゃって失敗する、
で、あんまりこめすぎるからお供ちゃんと聞こえなくなる、ということがあります。

音楽を、幅広く、楽しく、楽しんで、また自分からそれをだしてゆくっていうのは
すごく難しいことではあるんですけども、ほんとにちょっと違うものの見方、捉え
方をするだけで音楽はすごく深みを増してゆきます。
だからそんなふうなかたちで音楽と上手に接していただけたらなと思います。

世の中にはいっぱい曲がありますから、みなさんお好きな曲で、特にこんな風に
コードがあったり、伴奏譜があったりするのを自分で弾いたり触ったりしながら
いっぺんまた歌ってみてください。
そうすると、いままでと違った音の捉え方ができて、自分がいままで気がつかな
かった声の出し方ができるようになるかもしれません。

今日は『音を豊かに表現する』ということについて1時間ほどお話しさせていただ
きました。
ありがとうございました。