「今日からなれる声帯マスター!」1.声帯ってどこにある?

パワーボイスセミナー 第78回
「今日からなれる声帯マスター!」

声帯の動きを見ることで正しい腹式呼吸を身につけよう。
今まで、このパワーボイスセミナーでは声のこと、喉のこと、声帯のことなどを
繰り返しお伝えしていますが、実際の声帯の動きというのは口頭で説明するだけでは
なかなかわかりません。
そこで、今回は歌手の声帯をビデオで観察し、声帯の動きそのものを知ってもらいます。
そして、自分自身の声帯は喉仏を触ることで確認する方法をお伝えします。
そうすると声の発声装置、「声帯」と腹式呼吸の関係が体感しやすくなるのです。
医学的腹式呼吸の完全マスターまで、あと少しです!

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今日は第78回パワーボイスセミナー、『今日からなれる声帯マスター』という
テーマでみなさんにお届けしようと思うんですけれども、『声帯マスター』って
エラそうな名前で言ってるんですけどこれ何ぞや、といいますと、声帯って一体
どんなものなんだろうか?
どんなふうに動いてるのか?
で、またわたしたちはどんなふうにコントロールしてるのか。
それがわかったらどんなふうに歌いやすくなるのか。
そういう話を今日はさせてもらおうと思ってます。

歌手の人に声をだしてもらったとき、裏声のとき。
それから『ポルタメント』ってわかります?
「あ~あ↑」「あーあ↓」みたいに2音の間で音が上がったり下がったりするとき。
そういうときにいったい喉ってどういうふうに動いているのかな、と。
それを地声のままだけでやってるときと、地声から裏声にもっていってポルタメント
やってるとき、また裏声から地声に戻すとき、裏声だけでやっているとき。
・・・っていうふうにほんとに様々なお喉の、声帯の動きというのを撮っています。

ほかにはハミングをしたりとか、『エッジドボイス』なんていう、ほとんどこれは
だみ声みたいなものなんですが、「あ”ーー」っていうようなね、、、音。
そういうときはどういうふうに声帯は動いてるのか。

えー、これが、お喉の模型です。
実際にはみなさんのお喉はこんなにデカくないです。
お喉というのは実際はこの4分の1くらいです。
これは人間の喉頭サイズの4倍のサイズ。
それがここの、首の中に眠ってるわけですね。

このパワーボイスではよく自分の喉がどこにあるのか、どんなふうに動くのかという
のを確認していただくためにこれかならずやってるんですけど、まずちょっと喉を
触ってもらえますか? このあたりをぽっと。
それで、まずそこでツバを飲んでもらいます。ごっくん。
ね、どんなふうに動きました?

上下に・・・

そうですね。
ツバを飲むと喉はひゅって上に上がります。
どうしてか。
どうして喉がひゅって上にあがるのかというと、たとえば口の中にモノを入れますね、
ただモノを入れて上向いてぴょんぴょんしたからってモノを飲みこめないですよねえ。
口の中に溜めてちょっと上を向いただけでは食べものはずーっと口の中に残ってます。
ごっくん、とすること、これを嚥下と言います。
この嚥下をするために喉っていうのはひゅん!って上に上がるようにできてるんですね。
これがひゅ!って上がってはじめて食道、ごはんが通る道がポコン!って開くんです。
そしたらそこにごはんが入っていく。

ハイ、人間の顔をまっぷたつにバサン!と切ると、こんなふうになってます。
さっき、みなさんに喉ぼとけを触っていただきました。
ツバ飲んだらこれはこっくん!って上がったり下がったりします。
ここに声帯ってのがあります。
だから、お鼻からすぅーっと入ってきた息というのは、ひゅーんとこうきて、前の方の
『気管』という、空気の通る管のほうに入ってきます。

ところがごはんですね。
ごはんはお口のほうから、ひゅーって入ってきて、こっちの食道のほうに入ってきます。
お鼻から入って、気管。
口から入って、食道。

さ、そうするとここでややこしいことが起こります。
空気とごはんが交差しちゃうんです。
これ交差するとどうなるの? というと、ときどきあわててものを食べるとむせて鼻から
ぶしゅ!っとでちゃったりすることがあると思うんですけども、そういうふうなことが
起きないようにしてるのが、この『喉が上がる』っていう技なんですね。

ごっくんするときお喉がひゅん!って上がることで、ひゅっと上がったときにここに何か
ひょこっと出てます。
これなあに? っていうと、これが『喉頭蓋』って言います。
喉のフタです。
喉がひゅっと上がることで、これがポン!って閉じます。
そうするとことで、ここにドーム型にポン!ってフタがされるんで、食べたものがザーッと後ろの
食道のほうにぜんぶ入っていきます。
それでむせなくてすむんです。

ところが笑いながら食べてたりだとか、歌うたいながら食べてたりすると、ときどきここが
パカパカ開きますから、前のほうにごはんが入っちゃってむせるちゃうわけですね。

お喉の中で気管を守るための第一のフタがこの喉頭蓋、というフタです。
こんな感じでぴょこってフタされるようになってます。ピッて。

ところがこの1番めのフタの次にあるこの『声帯』っていうのが、実は2番めのフタだったんです。
この声帯が上手にパッと閉じることで、気管はほんとにお水とか食べものが入ってこなくなって
それでわたしたち誤嚥性肺炎にならなくてすんでたんですが、ところがこの声帯というのは気管を
守るフタ、第2の扉の役目だけじゃなく、逆に空気が出てきたときにブルルルル・・・って震わせて
それで震わせることでいいお声をだしたり、歌を歌ったりするのに役に立てよう、というふうに
神さまはしてくださったんです。
この声帯の動きです。
声帯がこう、ひょんひょんと動いて声になるんですけれども、じゃあ声帯ってどんな形してるのか?

こんな絵があります。
これは声帯の断面なんです。
で、これだけじゃちょっとわかりにくいので、いまから絵をまた描きます。

ではまず正面から見たお喉の絵を描いてみます。
どんな感じか。
マジンガーZの絵を描いてるわけじゃないですよ。
でもパッと見たらなんとはなしに似てるでしょ?
これを甲状軟骨って言います。
あの鎧みたいやからですね。
で、その下のほうですね、ここは実は隙間で筋肉が走っています。
筋肉の下にあるのが輪状軟骨って言います。
輪状・・・輪っかになってんの? そうです。輪っかになってるから輪状軟骨です。
で、これだけじゃちょっとわかりにくい。

こんどは横向きにした絵を描いてみます。
横向きにしたら見えるこれなあに? 言うたら、これ『甲状腺』なんです。
これ横向きにしますと、これが輪状軟骨なんです。
で、これを斜めに描きますとね、うーんと三次元的に描くとね、大体こんな感じ。
斜め切りの竹輪の上に、この鎧みたいなのがガサっとのってる、っていう、
そういう形やと思ってください。

さ、それで、どこに声帯があるのかと言いますと、声帯というのはここからビューンと
引っぱって、実はもう一個ここにも小さな披裂軟骨(ひれつなんこつ)っていうのが
あるんですけれどもね、その軟骨にくっついてます。
ここに声帯があるんです!

さ、じゃ前から見たらどんなふうに見えるの、っていうと、在る場所はここなんですけれども
みなさんの側から見ていただいたらちょうどこういう形で声帯があります。

こういうふうに動いてるんですね。
だから、こうピ!っとやったときに後ろ側で声帯はひょいひょいと動いてるわけです。
こんな感じでね。

その声帯をまたガサっと切って、声帯がどんな感じになってるのかっていうのを
みなさんに描いて示します。