「フェルマータをどう活かす?!」1.どこで区切るかでエネルギーが変わる

みなさん、こんにちは!
大北メディカルクリニックの松永敦です。
今日は『フェルマータをどう活かす?!』ということについて、お話しさせて
いただこうと思います。

ふつうだったら1とー2とー3とー4とー、とやって、タンタンタンタンターン
ってまあ、伸びちゃうわけですよね。
一般的には実は4倍、なんていわれてるんですねえ。
ほんまかいなと思いますけどね。

でもテンポが早い曲なんかでしたら4倍も伸ばさなかったり、それ以上になった
り、またその逆にテンポがゆっくりの曲だったら、テンポがゆっくりで4倍も
やってるともうお経みたいになっちゃうんで、もうちょっと短めに、とか、
いろいろあります。

ですので、今日は歌の、お尻のところですね、それぞれのフレーズの後ろって、
ちょっと伸ばしますよね、大体どんな歌でも。
その伸ばすときっていうのは、どういう風に伸ばすのが効果的なんだろうかと、
で、何に対して効果的で、何に対して効果的でないかと、そういことを今日は
みなさんと検証しながらやっていってみようかと思います。

音楽の構成要素というと、まず1番にはメロディーがあって、それで1人でや
ってるとなんとはなしにさみいしいぞと、まあ大勢でやったり、いろんな楽器
と重ねることでハーモニーっていうのが生まれます。
そういうような、音を重ねる楽しさ、そういうのも音楽にはなくてはならない
ものの一つです。

ところがこのリズムというやつ。
これ、すんごい大切なんですね。
どういう風に大切なのか。

Mさん、ど思いはります? 
リズムってどういう風に大切なのか。

なるほどなるほど、『曲の性格を決める』、なるほど!

フランク・シナトラが非常に好きな歌で『My Way』って曲があるんですね。
スタンダード・ジャズなんかでよくでてくる。
ところが、このマイ・ウェイという曲はですね、
たしかセックスピストルズのシドニー・ビシャスだったと思うんですけれども、
彼がやっぱりそのマイ・ウェイをカバーしてるんですね。
すごいウルサイ音で、すごいだみ声で「My Way!」ってガンガン歌っています。
とうぜん、それっておんなじ曲なんですよ。そんなにマロディーラインもガン
ガン変えてません。
だけれども、とうぜん4分の4拍子でやるのか、8分の8拍子でやってるのか
もうそうゆうようなことでリズムは変わっちゃうわけなんですけど、ほんとに
それだけでも『曲の性格』っていうのが十分に変わっちゃうわけなんですね。

『リズム』というものについて、わたしはよくこんな風に思います。
建物がある。
一軒家、マンション、どっかのタワーマンションみたいな高層建築のとか、
いろいろありますけれども、まあ『建物』で言ってみるとですね、柱、
鉄筋のあたりなんかに位置するものじゃなかろうか。
要するに、建物の形、でこぼこの形なのか、まるっこい形なのか、ひゅーん
ってとんがった塔みたいな形なのか、その曲、音楽の、顔つき、形を決める
ものっていうのが、リズムなんじゃなかろうかな、って思ったりします。

音楽ってこう、ずーっと流れてる、これまぁひとつの音の流れ、時間の流れ
ですね、この芸術は。
fu——————って流れてます。
だけどそれを、どこでどう区切るのかで4分の4だの2分の2だの、そういう
違いが出てくるんですよ。

だから別の意味で言いますと、わたしたち生きてます、ね!
生きるにおいては必ず必要なものに心臓の動きってのがあります。
ドックン、ドックン、ドックン・・・・
よくこの心臓の鼓動がリズムにたとえられることがあるんですけれども、
このドックンドックンっていうのはずーーーっと動いてる、死ぬまでね。
で、それを動いてる間、どこでどうひとまとめなんかなあ? と思ったりする
わけですよ。
2回? 、、、6回?

ふつう、一定のリズムというのを刻んでトントンといってるもんですから、
一体どこからどこまでを『ひとまとめ』にするかっていうことで、けっこう
この曲の雰囲気、性格っていうのが変わってきます。

よくよくあるのが4分の4拍子。
ね、4分の4ってあります。
で、一小節に、ド、ミ、ソ、ド、くらいにしておきましょうか。
こんだけ。一個ずつあったと。
タンタンタンタン、タンタンタンタン、タンタンタンタン、って
これ4分の4拍子ですね。

これを、でも、倍で感じる。
・・・・・・とこうすると、一応これ長さは一緒なんですけれども、
タンタンタンタン、、、タンタン タンタン タンタン タンタン
ってこれ、8分の8ってのになります。
ね。よくロックンロールなんかに使われるやつです。

で、さらにこれを切っていくと、倍ですから16分の16とか。
32分の32とか。

だから音っていうのはどこでどう切るかってことでその何分の何拍子って
のができてくるわけなんですね。

で、そのなかで、さあ、そういうでも何か一つのまとまりのあるのをタタ
タタタタタタタタタと忙しくこんなんやってたら「なんやねん、これ!」
と思ったりするかもしれんねんけど、そうやって細かく感じる方がどうな
のか? ・・・音って、なめらかさは出てくるねんね。
非常になめらかになります。

だからたとえば、はーるのー、うらーらーのー、すーみーだーがーわー
ってのがあるとします。
ふつうに歌ったらこんな風になるところを、それを倍でやってみると
こんな風になります。
いちおう流れとしたらおんなじように歌ってるんですけど、倍の拍になる
だけで感じ方が細かくなるから、音の流れはなめらかになります。
さらに細かく刻むと手を打つのはしんどいんやけど、音はさらになめらかに
なります。

逆に、スッチャラカチャン! スッチャラカチャン! これ2ビートです。
2ビートで歌うとこれ、ちょっと雑やねんけど、大きなうねりになります。

そういうようなのがほんとにおんなじ曲であるにもかかわらず、拍の取り
方、ビートの感じ方の違いでぜんぜん変わってしまうわけです。
おもしろ思わへん?

だからこそ、いま言ってくれはったみたいに、曲の性格、曲の性質、その
雰囲気が、このリズムのところですごく変えることができるんですね。

音楽は時間軸の中で動いてゆく芸術ですから、かならず音エネルギーとか、
時間エネルギーってやつと一緒に動いてますからエネルギーがあるんです
けれども、ところがそれがリズムの変化でエネルギーの変化も生まれます。
つまり、それによってノリが変わってくるわけですね。

このリズムを速めにやったり遅くする、これがいわゆる『テンポ』ってや
つなんですよ。
ふつうに、おんなじように、はーるのー うらーらーのー、これゆっくり
したテンポの『隅田川』です。
じゃ、これをもうちょっと速めに、はーるのーうらーらーのー 
これちょっとテンポが速くなっただけの『隅田川』です。
これだけでもエネルギーってちょっと変わるんですけれども、さっきやった
4分の4とか8分の8とか、あれくらいのダイナミックな違いほどは(変化
は)出てきません。