「パワーボイスってなんなんだ?」3.人体の構造的な知識

全体がひょん!って上に上がるとピッ!ってフタができるようになってるんです。
だから、喉のまわりの側がぎゅん!って上に上がらないとフタせえへんもんです
から、筋肉が弱くなって喉が上がらなくなるとフタしないからむせやすくなる、
ということなんです。
だから、たとえば笑いながらなんか飲んだりしてむせることあるでしょ、あれ
笑ってるときって喉って意外とひょこひょこ動いてるんですよ。
ですから喉が上がりきってない、すなわちフタが閉まってないときに上から牛乳
とかジュースが入ってきたらゲホゲホやっちゃう、、、そういうことなんです。

それで、さあ、喉です。
この喉が唾を飲んだり食べものを食べたりするときに上がってほしいんですが、
ところが歌を歌うときにはそんなに上がってほしくないんです。

あら?! そしたら年取って喉が上に上がんないほうがいい声がでるのかしら?

・・・といったら、それはまた別の話なんです(笑)

この喉のところを押さえて「マママママママ」とやって、上がったな下がったな
といったときに、ちょっと聞いててください。
高く声出していってみます。
ずーっと上げてきます。

 マーマーマーマーーー

わたしだともうこのくらいの高さで声でなくなっちゃいます。
どうしてか。
喉が上に行ってぶつかっちゃって余裕がなくなるからなんです。
でももっと高い音がほしい。高い音がだしたい。
どうしたらええんやろう?

この「側」が上がっていくのを、上げずにひゅーんと下げとくと、まだもうちょ
っと声帯を引っぱる余裕ができてきて高い音がでます。

それをやるには、できるだけ喉を下のほうに引っぱり下ろそう、という風にします。
それで声を出していくと、「ママママー」というふうにもうちょっと余裕が出てき
たり、響きがでてきます。
これをいわゆるラテン語の世界では『ベルカント』、美しく歌う唱法、ベルカント
唱法の中の喉を下げるテクニック、ということでカバーリングとかテックグとか
いろいろいわれますけど、喉を下げといたらあまり喉をぎゅっと絞る力がかからな
いからいいよ、って、そういう話です。

じゃあ、喉を下げるにはどうやったらいいんですか? ってことですね。

このお喉、上に引っ張り上げとく力がなくなると誤嚥性肺炎になると先ほど言いま
した。
実は喉の回りに付いてる筋肉って20何本あるんですね。
ところがたった一対の筋肉を除いては残りの20何本ある筋肉はぜんぶ上に引っ張
り上げるための筋肉なんです。
つまり、それだけ喉って上がらないと、むせて誤嚥性肺炎にあってヤバイよってい
うふうに人間の身体ってできてます。
下のほうに引っ張り力の筋肉はたった一対、2本しかないんです。

じゃあ、その2本の筋肉をどうやったら鍛えられるのか?

なかなか難しいことです。
でも鍛えられるんですよ。
だからよくクラシックの声楽やってる方の声を聞いたら軽い声でしゃべられる方少
ないです。ふだんから深ーい、響くような声でしゃべってます。
では、そういう人たちはどうやってるのか。
どうやってお喉を下に引っ張る筋肉を鍛えてるのか?

まず彼らがやっているのはこの横隔膜です。
横隔膜を鍛えるってことをやっています。
どうやって横隔膜を鍛えるのか?

さあ、ここでててきますのが『丹田』という、お腹のツボです。
下腹部にあるところ。
よく「あいつ、肝が据わったやっちゃなあ・・・」なんていわれますけど、その肝
ってのはここのことです。
おへそより10センチほど下、ここをぎゅーんと指で押さえて、吸った息でその指
を押し返すように腹を外にだす。そのときのお腹は空手をするときのようにカタく
しちゃだめです。

それをやるとどうなるの?というと、「へえー」と声を出したときに横隔膜が下に
下がります。

ふだんはこの横隔膜は形的には、こんなふうになってるんです。
肺がこういう形で、、、、
横隔膜のドームが、こうもり傘を緩めたときのようなゆるいカーブを描いていると
きは肺の容積は小さいです。肺が縮まってるときです。

ところが、パシ!っと傘ひろげたときみたいな、ほとんど垂直みたいな形に横隔膜
がなりますと、この分だけ肺が広がるんです。
肺がたくさん広がって息がたくさん入ってくる。

で、よく歌の先生がおっしゃいます。
「背中まで息が入ってくる」
そりゃそうなんです。
肺って背中のほうが下にあるから。

この前のところ、あばら骨ってありますよね。
このあばら骨を上からずーっと触っていきましょう。
ずーっと触っていくと触れなくなるところがあります。
ここまでです。肺があるのは。

ところがあばら骨の横を触っていくと後ろにいくにしたがって下のほうに回ってる、
すなわち、身体の前より背中の方が肺は下にきてるんです。
だから、「背中にまで息を回してね」というのはどういう意味かというと、後ろも
やわらかくしていっぱいたくさん息吸ってね、というのが歌の先生のおっしゃるこ
とです。

さあ、じゃあ、けどこの前のところはここまでか、、、という、でもそれもこの丹
田をぐーんと外に出すことで横隔膜下に下がったわ、って、わかりますよ、ここ触
ったら。きゅん!ってなるから。そっか、これで肺下がってんねんわーって。
なら、このときに肺が広がるんですね。で、たくさん息が出せる。

それで、もうひとついいのは、横隔膜が下がる、気管支が下がる、器官が下がる、
ハイ、喉は?
そう! 下がるんです。

喉が下がるから~ 詰まらないよ~♪
ってことになるんです www

ね、そうすると、丹田に力を入れて~ お腹ちょっと前に迫り出してぷりぷりさせて
横隔膜も下げてあげて~ 肺はたっぷりになって~ 気管支と器官と喉が下がると~
高い声もラクに出せる、ってことになるんです。
これが腹式呼吸の基本形です。

これってふだんからやってないとほんとにしんどいんですよね。
で、これを練習するのの1番いい方法は、お腹をグンと前に出して、腹式呼吸で、息
をスーーーーと音を出しながら細く吐く、、、これは座禅の呼吸法と一緒です。

まずはお腹出して、お腹出すということは横隔膜が下がるということだからたくさん
息が入る、で、たくさん息が入ったら、自分の前に向かって、自分のお口から天に向
かって白い糸がひゅーーーっと伸びるかのようにスーーーーーーーーーと息を吐いて
いきます。そのときはいつも横隔膜は下げっぱなし、もし指で押さえていたらその指
を押しっぱなし、みたいな感じで、スーーーーーってやります。
ここでけっこう肩が上がっちゃう人が多いです。
どうしてこの練習やるの、といったら、ここで上手に横隔膜を下に下げることができ
るようになると、息が長くなるからです。
息が長くなるっていうのは、長ーくセリフを喋れるようになる、長ーく歌を歌い続け
られる、ワンコーラスをたっぷりゆったり歌える、だから歌の最後をたっぷり伸ばせ
られてカッコイイ、みたいな、そんなことが起きてくるわけですね。

それをやるための練習としては深呼吸、瞑想しながらでもいいですが、こんなふうに
息をスーーーーーってやって一息を長く長くしといてあげたら、どんどん肺が鍛えら
れていきます。
厳密にいえば肺臓のスポンジみたいな部分が鍛えられるというよりは、肺にくっつい
てる筋肉が鍛えられるので、肺を十分に広げられる、っていうのが正確なところなん
ですけどね。

煙草吸いまくってる人は肺のスポンジ質の肺胞がほんとにボロボロになってきてます
んで、年取ってからいくらがんばっても遅いので、もし今日来ていただいてる方、
もしくはこの放送を見てくださっている方で煙草をお吸いになってる方は、できれば
煙草はおやめいただいたほうが絶対にいいと思います。

さて、①まずは人体の構造的な知識、
さあ、これはもうみなさんはバッチリです。

で、次には実際に身体を動かすこと。
さっきちょっと「エーー」とか「オーー」とかやっていただきました。
じゃあ、それをちょっちゅうしょっちゅうやっているといいんだけれども、でも、
その横隔膜を動かしやすくする、身体をやわらかくするためのストレッチもあります。