2013年8月28日 公開

歌を歌うということ

歌うイメージ

私は歌を歌うのが本当に好きです。

もう、それこそ息をするのと同じように歌っていることもあるぐらいです。
ただ、このような息をするのと同じようなタイプの歌というのは、鼻歌というような歌ですよね。 下手をすると、何をぼそぼそ言ってんだろうとそばにいる人にいやな顔をされる可能性もある歌です。
ところが、歌手が一生懸命歌う歌とはこのような鼻歌とは全然、違います。

プロの歌手が歌うべき歌とは聞いて下さるお客さんにしっかりとしたドラマを伝え、感動していただいたり、音の流れに特徴があり、面白いな、好奇心がかきたてられるな、というようなものでないと商品にならないわけです。
では、その商品価値のある歌は商品になりさえすればなんだっていいのかというと、そうではありません。良い商品には良質のエネルギーが詰まっています。

私の仕事のひとつにはいい歌を歌いたいとおいでの患者さん達にどのようにすればこの良質のエネルギーを歌に乗せていけるのかというお話をするということがあります。
もちろん、メロディー、リズムがきっちりとした歌にはこのいいエネルギーが乗りやすいのですが、極端な話、とても良いエネルギーがそこにある場合、少しぐらい音がずれても音楽としては何とかなるということもよくあることです。さあ、それはどうすれば良いのでしょうか?

実は答えは簡単です。

お客さんと一緒に、感じるということです。共感という行為は共に感じ、心が動くということです。無理に動かそうとするとエネルギーが台無しになってしまいます。ただ、自然に感じてあげれば、また感ずることがある歌ならばそこに良質のエネルギーが生まれだしますから、無理に何とかしようとは思う必要が無くなるのです。

いい景色を見る、素敵な友達と時を過ごす、とびきりの御馳走を食べに行く、そうして、それらの瞬間、瞬間を大切に味わいつくす。このような日々の生活の中で感ずることを大切にしていけば、「感ずるアンテナ」が育ち始めます。このアンテナを育て続けてあげれば、この良質のエネルギーは勝手に動き出し、しっかり歌う時には声に乗ってくれるというセオリーです。

まあ、鼻歌には鼻歌のエネルギーがあるので、その楽しみ方もあるんですけどね。 それは、また今度、お話しいたします。