ちょっと学習・音声医学

1.「音」ってなに? 「声」ってなに?

音は空気の揺れです。
物体が揺れ、その揺れが空気を伝わり聴覚を刺激したときに、人間は音として感じます。
空気が揺れると密度の高い部分と低い部分ができて、この密度の高い部分と低い部分が波となって伝わっていきます。この波を音波といい、その基本的な形を図で表すと下記のような弓なりのカーブになります。これを正弦波といいます。
また、この正弦波による音のことを純音と呼びます。

音には三つの要素があるとされています。
音の強弱、音の高低、音の質(音色・おんしょく)です。
音の強弱は音の「エネルギー」であり、デシベル(db)で表示される強さです。
波の高さを振幅といい、振幅が大きいほど、大きい音になります。
音の高低は周波数といい、ヘルツ(Hz)で表示されます。
音は空気の振動が縦波として伝わっているので、一秒間に何回振動するか、ということです。
例えば1秒間に10回繰り返される波は10Hzです。
人間は周波数の多い音を高音、少ない音を低音として認識しています。音色はそれぞれの音の持つ波長や振幅のバランス、それに時間経過が複雑に影響しあっています。音の大きさや高さが同じであっても、ピアノとギターではそれぞれ違った独自の音を出すのは、ピアノとギターの音の波の形が違うからです。

では「声」とはなんでしょうか?

声はの喉ぼどけの裏側にある声帯というところから出ます。
その声帯とは、粘膜でできている象牙色のひだで、左右にあります。
ひだはやわらかくプルプルしていて、そのひだが揺れて音が出ます。
呼吸している時には開いている声帯ですが、左右のひだが接近したところに肺から空気(呼気)が上がってきてひだがゆれると、音が発生します。
これが「声の元(もと)」=「喉頭原音」と呼ばるもので、ブザーのような音です。
ハーモニカやサックスのリード、トランペットなど、皆さんもよくご存知の楽器と同じように、何かが震えることにより、まわりの空気が震えてそれが音になるのです。

では、ブザー音のような「声の元」は、どのようにして人間の声になるのでしょうか。
声は声帯の振動だけでできているわけではないのです。
声帯から出たブザー音のような「声の元」は、喉頭、口腔、鼻腔の空洞部分で共鳴して、舌、唇、軟口蓋などで音色を変えられて声になります。
そして「声」という観点からは余談になりますが、音を出す器官でありながら、声帯には音を作る以外に人間にとってもうひとつ重要な役割があります。

 それは「蓋(ふた)」としての機能です。
食べ物は食道を通り胃へ、空気は気管を通って肺へ入ります。
声帯は食べ物や飲み物が間違って気管を通って肺の方へ入っていかないようにしている、一番めの蓋なのです。二番めの蓋は、喉頭蓋(こうとうがい)という喉頭全体の蓋です。
食物などを飲みこむときに、喉頭をふさいで気管に入ることを防いでいます。
こうやってあらためて人の身体を見てみると、声帯ひとつとっても実によくできていると思いませんか?